どうする韓国、中国が怖くて半導体封鎖に加われないのか 「ホワイト国」に再指定すれば日本も同罪

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得意技の横流しで二股

――結局、韓国はどっちの道を選ぶのでしょうか。

鈴置:「選ばない」という選択をすると思います。米中双方が怖いからです。

――米国はそれを許すのでしょうか。

鈴置:許さないと思います。対ロ制裁に加わらなかった時の韓国へのビンタの激しさを考えても。

――米国にまたもやビンタされたらどうするのでしょう、韓国は。

鈴置:韓国には奥の手があります。米国の命令通りに、先端半導体の対中輸出は止める。しかし、先端半導体を製造するための装置と素材は中国の半導体メーカーに横流しする――です。こうすれば中国に「封鎖」の実害は及ばず、韓国も中国の怒りを買うこともなく「封鎖」参加に対する報復を受けなくて済みます。

 韓国の横流しには実績があります。日本が対韓輸出管理強化に動くきっかけとなった事件です。韓国の貿易統計によると韓国は例年、半導体製造用のフッ化水素(HSコード2811111000)を年間4万トン強輸入していました。ほぼ日本製です。

 ところが2018年には輸入量が2倍の8万3300トンに跳ね上がったのです(「岸田首相から3匹目のドジョウ狙う韓国 米中対立で日本の『輸出規制』が凶器に」参照)。

 危険な国家への横流しを疑った日本政府が韓国政府に問いただしたのですが、答は一切ありませんでした。そこで2019年7月にフッ化水素など3品目の対韓輸出を1件ごとにチェックする仕組みに変更。翌8月には輸出に制限を設けないホワイト国(現・Aグループ)から韓国を外しました。

日韓で食い違う貿易統計

 当時の文在寅政権はこの措置を不当としてWTOに日本を訴えました。しかし、韓国の保守政党は核兵器の製造にも使うフッ化水素が北朝鮮に横流しされたと疑い7月12日、「統計の矛盾」を国会で追及しました(「日本に追い詰められた韓国 米国に泣きつくも「中国と手を切れ」と一喝」参照)。

 ノーカット・ニュースの「政府、『韓―日フッ化水素統計の不一致…不良品を返却したとのこと』」(2019年7月12日、韓国語)によると、質問は以下です。

・韓国関税庁の統計によると、2019年1月と5月に韓国が日本に向け輸出した、半導体製造用のフッ化水素はそれぞれ30キロと3万9620キロである。
・しかるに、日本の財務省の貿易統計では今年、韓国から輸入されたフッ化水素は120キロと集計されており、大きな差を見せている。
・政府が日本の経済報復に対処すると言いつつ(日本財務省の)ホームページで容易に確認できる水準の統計資料に対しても現状を把握しないでいるのを見る時、この政府の対処がどれだけいいかげんかを如実に示した。

――韓国政府はどう答弁したのですか?

鈴置:産業通商資源部の通商交渉本部長が「関連業界に確認した結果、日本から輸入したフッ化水素に不良が確認され、日本に再び送り返したということだ」と答えました。

 日韓の統計不一致に関する弁明には全くなっていないのですが、国会での追及はここ止まりだったようです。結局、その後の日韓協議で韓国政府は「今後、輸出の管理体制を強化する」と日本に約束、横流しを暗に認めたのです。

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