どうする韓国、中国が怖くて半導体封鎖に加われないのか 「ホワイト国」に再指定すれば日本も同罪
米国が主導する半導体の中国封鎖網。日本とオランダの参加が決まり、残すは韓国だけとなった。米中どちらと手を組むのか――。韓国観察者の鈴置高史氏が二股外交の先行きを読む。
日蘭が参加、残るは韓国
鈴置:米日蘭の3国は1月27日、先端半導体を製造する装置の対中輸出規制で合意しました。ブルームバーグが「日米とオランダが合意、半導体製造装置の対中輸出規制―関係者」(1月28日、日本語版)で以下のように報じました。
・半導体製造能力増強に動く中国の野心阻止を目指す合意により、バイデン米政権が昨年10月に発表した半導体・同製造装置の対中輸出規制は、主要サプライヤーである東京エレクトロンやニコン、ASMLホールディングを擁する日本とオランダを加えた多国間の枠組みに拡大する。
・関係者によれば、対中輸出制限の合意を公表する予定はなく、日本とオランダが法整備を完了する過程で実施に数カ月かかる可能性もある。
ミソは、日蘭は合意内容を詳細には公表せず、粛々と「封鎖」作業を進めて行くということです。中国との摩擦を最小化するためです。どうせ嫌がらせして来るでしょうが。
日本政府の対応を産経新聞が「半導体の対中輸出規制、今春にも実施へ 省令改正検討」(2月4日)で報じています。
・特定の製品や技術を輸出する際に経済産業相の許可が必要となる外為法の省令を改正し、日本が強みを持つ半導体製造装置が輸出先で軍事利用されないようにする。
・ただ、中国が報復措置をとる可能性も考慮して、中国の名指しは避ける方向だ。
・米国は回路線幅14ナノメートル(1ナノは10億分の1)以下の半導体の先端技術を主な規制対象とした。日本も同様の対応をとる構えだ。
「半導体戦争で板挟みになる韓国 米国の圧迫と中国の嫌がらせ…頼みの綱は日本の輸出管理撤廃」でも指摘した、米国が主導する半導体封鎖網はこれでほぼ完成し、残すは韓国を参加させるだけになったのです。
米中蜜月時代から台湾は輸出規制
――台湾は?
鈴置:台湾のTSMCは世界最高の高機能ロジックを作りますから、米国は当然、封鎖網に入れたい。もっとも、米国が要請せずとも20世紀から――米中関係が良好だった時から台湾は自主的に先端半導体の対中輸出は控えてきました。
だから、今になって米国が対中輸出規制に加わるよう求める必要はないのです。輸出規制品目を詰めるため非公式には話し合っていると思いますが。
早くも昨年秋から米台は協調して対中封鎖に乗り出しています。ブルームバーグは2022年10月23日、「台湾TSMC、中国有力スタートアップ向けの先端半導体を[の]生産を中止」(日本語版)でTSMCは中国企業が設計した先端半導体の委託生産を中止したと報じました。
一方、韓国はそんな自主規制の制度は持ちませんし、中国の顔色を見る国です。米国は脅し上げてでも韓国の先端半導体の対中輸出を止めるでしょう。
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