懲罰委開催で「ガーシー3月帰国」は白紙に 「不逮捕特権」消滅で焦る警視庁が仕掛けるウルトラC
NHK党のガーシー(東谷義和氏)参院議員が「議員資格」を失う可能性が浮上している。そうなれば、これまで身を守る“防波堤”となってきた「不逮捕特権」も同時に消滅。ガーシー氏の逮捕も視野に捜査を進める警視庁にとっては朗報かと思いきや、逆に頭を抱える事態に陥っているという。その理由とは何か。
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昨年7月の当選後、国会に1度も登院していないガーシー氏に対して1月30日、尾辻秀久・参院議長は国会への出席を求める「招状」を74年ぶりに発出。国会法124条では、招状を受け取った日から7日以内の出席を議員に求めているが、ガーシー氏はその後も登院することなく、参議院は2月8日に懲罰委員会に付すこと決定した。
「登院0日であるにもかかわらず、ガーシーには毎月129万4000円の歳費や同100万円の調査研究広報滞在費など、1月末までに計約1600万円の公費が支給されている。ガーシーは登院しない理由を“腐った権力者がいる日本に帰ってくると、不当な罪を着せられる恐れがある”などと説明するが、そんな理屈で納得する国民がいるとは思えない」(参院自民党関係者)
10日に開会した懲罰委員会を前に、鈴木宗男委員長(日本維新の会)は「時間をかけずに進める」と宣言し、月内にも結論が出る見通しだ。
懲罰には重い順に「除名」「登院停止」「陳謝」「戒告」の4種類があるが、すでにガーシー氏に下される処分内容は大筋で固まっているとされる。
前例にならったシナリオ
「“国会欠席”を理由に国会議員が懲罰委に付されるのは初めてのことであるため、いきなり除名処分にするのは“行き過ぎだ”との声が少なくない。とはいえ、そもそも登院を拒否している議員に対し、登院停止処分を下しても意味はない。となると“陳謝”が妥当となるが、同処分は正確には〈議場での陳謝〉。つまり本人が議場に来ることが前提で、まずは陳謝に付して、それでもガーシーが現れなければ除名へと進む大義名分が整う」(同)
実はこれには前例があるという。国会議員が「除名」となったのは過去、1950年の小川友三参院議員と、51年の川上貫一衆院議員の2例のみ。
「参考に挙げられているのが小川氏の事例だ。50年4月、予算案を審議する本会議で小川氏は反対討論に立ちながら、採決で賛成票を投じたことが問題視され、国会が紛糾。懲罰に付され“陳謝”と決まったが、陳謝しなかったため除名となった経緯がある」(同)
除名には「本会議で出席議員の3分の2以上の賛成が必要で、除名されれば議員資格を失う」(参議院事務局)ため、会期中は原則逮捕されない「不逮捕特権」も自動的に喪失することになる。永田町は“ガーシー放逐”に意気軒高だが、一方で捜査当局の反応は異なっているという。
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