日本の高齢化と人口減少が「コンビニ」に変化をもたらすワケ

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「自販機コンビニ」と「無人コンビニ」という人手不足解消策

馬渕: コンビニの店舗数が停滞気味なのも人口と同じく今がピークだからということなんですね。

渡辺: そのとおりです。人口や世帯数がピークに達すれば、当然店舗数が増えるわけがないんですよ。人口はすでに減り続けているし、世帯数も2020年代後半から減少傾向に入ると言われています。これに伴い、コンビニの店舗数も減少する可能性があります。
コンビニ業界も売上を確保するため、近年は工場やオフィスビルなどのマイクロマーケットに「自販機コンビニ」を設置や「無人コンビニ」など、新たな形態にチャレンジしています。

馬渕: 食品自販機は駅ナカでも見かける機会が増えましたよね。コンビニも参入しているんですね。自販機コンビニは、人手不足にも役立ちそうです。

アバター店員と新たな雇用創出

渡辺: 人手不足で言えば、都心を中心に無人店舗の導入も進められています。
あと、ローソンが2022年11月に都内でオープンした「グリーンローソン」では、“アバター店員”による接客が試験的に始められています

馬渕: アバター店員は、具体的にどのような接客をするんですか?

渡辺: セルフレジ横のディスプレイにアバター店員がいて、セルフレジの使い方やオススメ商品を教えてくれます。アバター店員は「そらと」さんと「あおい」さんという2名がいて、僕が視察に訪れたとき、アバターを遠隔操作していたのは淡路島在住の年配男性でした。

馬渕: 「人手不足の都市部」と「仕事不足の地域」をつなぐ、新たな雇用創出になりそうです。

渡辺: ローソンは、2025年までにアバター操作者を1000人雇用する予定です。コンビニはフランチャイズなので「アバターにかかるコストを本部とオーナーでどう費用負担するか」などの課題も残っています。でも、トライ&エラーを繰り返しながら、ぜひとも推進してほしいですね。

馬渕磨理子(まぶち・まりこ)
日本金融経済研究所代表理事/経済アナリスト。ハリウッド大学院大学客員准教授。公共政策修士。京都大学公共政策大学院修士課程を修了。トレーダーとして法人の資産運用を担った後、金融メディアのシニアアナリスト、FUNDINNO で日本初のECFアナリストとして政策提言にかかわる。またIR(インベスター・リレーションズ)について大学と共同研究を行う。現在、経済アナリストとして、フジテレビの夜のニュース番組「FNN Live News α」読売テレビ「ウェークアップ」のレギュラーコメンテーターをはじめ、各メディアでの出演多数。経済アナリストの知見を活かしたセミナーや講演会も好評を博している。ポリシーは「自分の意志で人生の選択ができる世の中を」。誰もが自分の価値観でしなやかに生きることができる社会を目指して活動中。著書に『5万円からでも始められる! 黒字転換2倍株で勝つ投資術』(ダイヤモンド社)、『京大院卒経済アナリストが開発! 収入10倍アップ高速勉強法』(PHP研究所)などがある。

渡辺広明(わたなべ・ひろあき)
マーケティングアナリスト。流通ジャーナリスト。1967年静岡県浜松市生まれ。東洋大学卒業後、株式会社ローソンに22年間勤務し、店長・スーパーバイザーを経て、約16年間バイヤーを経験。コンビニバイヤー・メーカー勤務で約770品の商品開発を行なった経験をもとに「FNN Live News α」「ホンマでっか!?TV」(以上、フジテレビ)のコメンテーターとして出演中。その他に、静岡県浜松市の親善大使「やらまいか大使」就任。ニュース番組・ワイドショー・新聞・週刊誌などのコメント、コンサルティング・講演など幅広く活動。2019年3月、(株)やらまいかマーケティングを設立。なお、共著者・馬渕氏とともに、Tokyo fm「馬渕・渡辺の#ビジトピ」のパーソナリティも務めている。著書に『コンビニが日本から消えたなら』(ベストセラーズ)などがある。

デイリー新潮編集部

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