ゴルフファン憧れの2つの名所が工事中 セント・アンドリュースの“不格好すぎる橋”の改修に非難殺到

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オーガスタ・ナショナルの工事への懸念

 我が道を突き進むオーガスタ・ナショナルと人々の声に耳を傾けるセント・アンドリュース。それぞれの姿勢は180度異なるが、オーガスタ・ナショナルはプライベートクラブであり、セント・アンドリュースは広く門戸を開いているパブリックな存在ゆえ、ある意味、両者の姿勢は異なって当たり前なのかもしれない。

 ともあれ、世界中のゴルファーが憧れる名物ブリッジに石畳をつなげたセント・アンドリュースのデザインが、あれほど激しい批判の対象になり、文字通り「石(岩)」をも動かす結果になったことに何より驚かされた。

 デザインそのものの良し悪しの判断は主観の問題であり、初めて見た人の目には「素敵なデザイン」と映ることもあるのかもしれない。だが、長年、スウィルカン・ブリッジを眺めてきたゴルフファンの目には、奇妙な石畳が無理矢理くっつけられた酷いデザインに感じられた。私もそう感じた一人だった。長年愛されてきた歴史的遺産だからこそ、慣れ親しんだ姿を保ってほしいと願うことは「なるほど」と頷ける。

 これは「もしも」の話だが、オーガスタ・ナショナルがアーメ・ンコーナーの12番ホールのホーガン・ブリッジや13番ホールのネルソン・ブリッジの周辺に同様の石畳を敷き、その姿を4月のマスターズでいきなり披露したら、きっと批判や非難が殺到し、マスターズが開催困難になるほどの大騒動になるのではないだろうか。

 そして、いくらプライベートクラブとはいえ人々の声を無視することはできなくなり、早急の対応を迫られるのではないだろうか。奇妙な出来事の推移を見守っていたら、そんな想像まで膨らんできた。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やテレビ・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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