ゴルフファン憧れの2つの名所が工事中 セント・アンドリュースの“不格好すぎる橋”の改修に非難殺到
批判を浴びた石畳のデザイン
さて、「ゴルフの聖地」セント・アンドリュースの名物は、18番ホールのフェアウエイ右サイドに架かる「スウィルカン・ブリッジ」だ。
昨年の全英オープンで予選落ちしたタイガー・ウッズは、この橋の上で涙を浮かべながら手を振り、「聖地」での全英オープンに別れを告げた。ゴルフファンには記憶に新しいシーンだろう。
この橋は羊飼いらが小川を渡るために、700年、いや800年以上も前に造られたと言われている。だが、いつしか羊飼いではなくゴルファーが渡る橋となった。全英オープンの際には選手やキャディ、関係者、それ以外の時は一般ゴルファーが、この橋を渡りつつ笑顔でポーズを取る絶好の記念撮影スポットになっている。
しかし、石でできた橋そのものは頑丈だが、橋の手前の芝は大勢の人々に踏み荒らされて損傷が激しく、長年、セント・アンドリュースは頭を痛めてきた。人工芝や新素材を利用するなど、あの手この手を試みたものの根本的な解決には至らず、ついに今年、橋の手前のエリアを石畳で覆って強固にする工事に踏み切った。
石畳で広く覆った円形のエリアから半島のように伸びた石製の一筋がそのまま橋につながっていくデザインなのだが、どう見ても不格好で違和感を覚える。
英国ゴルファーたちから噴出した新デザインへの批判は瞬く間に米国へ、そして世界中へ広がり、「セント・アンドリュースの景観が台無しだ」という怒りや嘆きの声が飛び交った。
批判が殺到したため、セント・アンドリュースは「この工事は橋の手前のエリアの損傷を防ぐための対策であり、苦肉の策なのです」と理解を求める声明を出した。しかし、批判はさらに激化し、米スポーツ・イラストレイテッド誌は「歴史的に見て酷いアイディアだ」「まるで石畳のヘリコプター発着場のようだ 」と酷評。英国のザ・クーリエ誌に至っては「モナリザの顔にヒゲを描いたようなもの」とシニカルな見出しを踊らせた。
するとセント・アンドリュースは再度声明を出し、「橋の手前の石畳は撤去します」と表明。騒動はようやく収束に向かいつつある。
声明には、このようなフレーズも記されていた。
「世界に広がったたくさんの注目やコメントは、大勢の人々がセント・アンドリュースを気にかけてくれている証です。600年以上もの間、大勢の人々の願いや望みに応えてきたこの歴史的遺産を守っていくことは、我々の大切な役割であることを改めて認識させられました」
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