波乱の「北九州市長選」自民候補まさかの敗北 胸を撫で下ろす「菅前総理」に笑う「麻生太郎」

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水面下で分裂

 かくして蓋を開けてみれば、無所属の武内氏が、与野党4党相乗りの本命候補・津森氏を1万4000票差で破る、大番狂わせとなったというわけだ。

 もっとも、この波乱は、“起こるべくして起こった”と見る向きもある。政治部デスクが言う。

「昨年12月、自民党が津森氏に推薦を出すと決定した際、副総裁である麻生太郎氏が、津森氏への推薦を決定する書類へのサインを断った。麻生氏は、2019年に行われた福岡県知事選挙の際、立候補した武内氏を応援した過去があり、今回の選挙では、武内氏も津森氏も応援しない、そういう立場を取ったのです。この態度に、麻生氏に近い地元市議や県議は敏感に反応。表では津森氏を応援しつつも、裏で武内氏も支える、そんな動きが水面下で起きていた。事実上の分裂だったのです」

 さらに、告示直前には、こんなことも。

「福岡選出の衆院議員の武田良太元総務相が、菅元総理に声をかけ、津森氏のために北九州入りを頼み、菅氏もこれを快諾したものの、直前でキャンセルに。というのも、この選挙を仕切る自民党福岡県連と武田氏の仲が険悪で、武田氏が、菅氏と一緒に演説をするのを県連が拒み、それに武田氏が激高 。結果、菅氏の応援自体が飛ぶことになったのです。それにしても、総理経験者、そして大臣経験者の応援を断るなんて、他の選挙では絶対あり得ないでしょう」

次の衆院選で……

 推薦を出した自民党内部が、そもそもまとまっていなかったというわけだが、

「結果的に武田氏と菅氏は、この選挙に下手に関わらずに済んだわけで、二人とも今はほっとしていると思いますよ。そして何より、今回の選挙で笑いが止まらないのは、他ならぬ麻生氏でしょう。自らの選挙区のすぐ近くにある北九州市に、武内氏という楔を打ち込むことができたわけですから」

 打ち込まれた“楔”が、今後どのように作用するかといえば、

「まず考えられるのは、次の衆院選への影響でしょうね。実は北九州市が選挙区となっている福岡9区、10区には現在、自民党の議員がおらず、次回の選挙では確実に候補者を選定しなければならない。そして新たな候補者選びとなれば、武田氏をはじめ、地元重鎮議員たちのさまざまな思惑が錯綜するのが常ですが、そんな中でも、麻生氏の意向は一層重たくなるでしょうね。麻生氏の息子である将豊氏を、10区から出馬させ、自らは現役続行しつつ、息子に権力を継承させるのでは、などというウルトラCの噂まで、さっそく飛び交っています」

 選挙は終われど、戦いはいつまでも終わらない――。

デイリー新潮編集部

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