妻とも不倫相手とも別れがたくて… 自分の“ゲスなひらめき”を一生後悔するアラフィフ夫の悶え

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「最悪にゲスなことなんですが…」

 つきあいが3年ほど続いたころ、ときおり「あなたはどうせ奥さんを愛しているのよね、私とは遊びなのよね」と芙美恵さんに泣かれた。うっとうしい半面、そんな彼女が愛おしくもあったと彼は言う。

「そこで僕、いいことを思いついてしまったんです。いや、今思えば、いいことではなくて、最悪にゲスなことなんですが……」

 口をつぐんだ巧憲さんを、それとなく促した。ここまでくれば何を聞いても驚かない。巧憲さんは、芙美恵さんに結婚するよう勧めたのだという。そうすれば対等な関係になれる。自分たちはこれからも会い続けることができる。今よりいい関係が築けるのではないか。彼は芙美恵さんを説得した。

 彼が、芙美恵さんの相手として目星をつけたのは、会社で向かいに座っている、人のよい後輩だった。当時、39歳。結婚したいと言っていたし、芙美恵さんならいいカップルになりそうだった。

「私が結婚してくれって言ったら困るということねと芙美恵は言いました。見抜かれていた。芙美恵は、それもいいかもねと言ったんです。別れないと約束してくれるなら、その彼と会ってみようかな、と。彼女が屈託なくそう言うので、後輩を紹介しました。ふたりはすっかり意気投合したみたいで、半年ほどで結婚という運びになりました。しかもその時点で、彼女は妊娠していた。彼女は僕の子だと言い張りましたが、そこはわかりません」

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