妻とも不倫相手とも別れがたくて… 自分の“ゲスなひらめき”を一生後悔するアラフィフ夫の悶え

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妻に「通帳を見せろ」というと…

 長男は学校の成績がよかった。「私立の中学を受けてみたらって先生に言われたよ」と本人が言うので妻に確認すると、妻はなぜか気乗りしない様子だった。

「電車通学も大変だしね、と。でも本人がその気になっているようなので、受けさせればいいだろうと僕は言ったんです。すると5年生になった息子が『夏休みに塾に行きたい』というんですよ。うち、それまで塾に通わせてなかった。それで息子の言う塾の費用を見てちょっと驚いたんですが、まあ、預金もそれなりにあるだろうと妻に出してあげてと言うと、妻がため息をつきながら『お金がないの』って。投資分を除いて収入は妻がやりくりしているはず。通帳を見せろというと、数十万しかないんですよ。いったい、どういうことなんだと聞いたら、月々、かなりの額を親に渡していた、と」

 いくらなんでもそれはないだろと、巧憲さんはすぐに夏鈴さんの実家に電話をかけた。すると義母が泣きながら、「私たちが苦労したから、娘はおいしいものを食べさせてくれたり小遣いをくれたりした。それは娘のお金だと思っていた」と言うわけです。働いていない娘がどうしてそれほどのお金があるのか、考えてもいない。いや、そもそも巧憲さんが稼いだ金だとわかっていながら、娘から受け取っていたのだろう。

「もし預金があるなら、いくらか戻してほしい。子どもの塾代にしたいと言うと、義母は『お父さんの体調が悪くて、今月はタクシーで病院に行くことが続いて』と泣き、『うちもボロボロで、少し屋根を修繕したんですよ』とも言う。僕はめったに妻の実家には行ってなかったので翌日、見に行ったら、かなり大規模なリフォームをしたようで外観はすっかりきれいになっていました。そんな話も聞いていませんから、帰宅して、今までのお金の流れを全部見せろと言いました。妻は家計簿をつけてないし、通帳も以前のは捨てたしとのらくら逃げる。もっときちんとした性格だと信じていたのに、と僕が愕然としていると、妻は『うち、ずっと貧乏だったの。両親にも少しは贅沢させたかった』と。それならそうと言ってくれれば、金額を決めて両親に渡したのに……。勝手にやられるのが嫌なんだよ、もとは誰の金だと思ってるんだよと思わず言ってしまいました」

 夏鈴さんは「わかった。そういう人だったのね」と何かを諦めたようにつぶやいた。いや、そういうことを言っているわけじゃないと、巧憲さんはしどろもどろになった。

 以前から、どこか違和感があった妻との関係だが、いきなり深い溝が見えた瞬間だった。

「もちろん、子どもがいるから家にはきちんと帰っていたし、妻の両親がうちにくることも激減したようです。昼間はわからないけど、なんとなく来ていない雰囲気でした。でも妻との間には冷たい何かが流れるようになっていた」

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