妻とも不倫相手とも別れがたくて… 自分の“ゲスなひらめき”を一生後悔するアラフィフ夫の悶え
妻の両親への“不信感”
ある日、早めに帰宅すると義母のみならず、義父もいた。彼は怪訝な顔をしていたのだろう。妻は、「たまたま今日はお父さんも来てくれちゃって」と焦ったように言い訳をした。妻は両親が年をとってからのひとりっ子なので、当時、両親は60代後半になっていた。
「それからもときどき、両親が来ているところへ僕が帰宅することがありました。いいんですけどね、玄関の外に寿司桶が置いてあるんですよ。昼間来て、3人でお寿司をとって食べているんでしょう。なんとなく家計は大丈夫なのかなと不安になりました。妻は『両親が出してくれた』と言うんですが、正直言って、妻の両親にそれほど財産があるようにも見えなかった」
35歳のとき、彼は職場の大先輩が転職していったベンチャー企業から、うちに来ないかと打診された。妻に相談すると大反対だった。
「今の会社は安定企業だし、少しだってそれなりに給料だって上がっていくはず。もし転職した先が倒産したらどうするの、と。でも倒産するような会社ではない。すでに業界では評判がよかったですしね。僕は妻の反対を押し切って転職しました。年収は1,5倍以上になりましたが、子どもたちのこともあるので、慎重に投資もするようになりました。あとは妻が預金に回すと言ってくれたので任せていたんです」
下の双子が小学校に入ってしばらくたつと、妻も少しだけ時間的余裕ができたようで、パートに出ると言い出した。仕事はしたくなかったはずだが、子どもとどっぷり関わりすぎて「たまには大人と話したいし、自分の小遣いくらいは自分でまかないたい」というので、巧憲さんは好きにさせることにしたと言う。
妻がパートに出ると、家の中の雰囲気が変わった。何かが違うのだ。どうやら妻の両親が頻繁にやってきているようだと巧憲さんは感じていた。
「だけど両親を来させるなとは言えないですよね。夏鈴との関係そのものは決して悪くなかったけど、ゴミ箱に高級メロンの箱を見つけたときは、やはりどういうことなんだと言わざるを得なかった。妻は『母が持ってきたのよ』とさりげなく言ったけど、僕はやはり心のどこかで疑問を抱いていました」
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