カンボジアで詐欺師のカモにされる日本人旅行者 「大富豪からカネを巻き上げよう」で始まる手口とは

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賭博を拒否すると…

 ところが、最後だけは大富豪が勝った。

「大富豪はそのまま引き上げて行ったそうです。まあ、漫画みたいな話ですが、この手口で10人ほどの日本人が被害に遭っています。100万円と言えば、カンボジアでは1000万円近い価値がありますからね、詐欺師たちも大喜びでしょう」

 被害に遭っているのは、日本人だけではないという。

「韓国人や台湾人、中国人の被害者もいます。犯人グループは日本語が通じないとなると、韓国語や中国語を話し始めるそうです」

 カンボジアでは、日常的に賭けゴルフや賭け麻雀が行われている。

「もっとも、イカサマをやったのかどうか立証が難しく、これらは全て事件にはなっていません。日本大使館にダマされたと連絡が来るのですが、ダマされた旅行者は泣き寝入りするしかないですね」

 日本人旅行者の中には、カンボジア人の家まで行きながら、賭博を拒否する人もいたという。

「このケースでは、カンボジア人から『このまま帰れると思うなよ』と脅されて、数十万円を巻き上げられたのです。これは明らかに犯罪ですから、被害者は警察に通報しました。ところが、連れて行かれた家の場所が分からず、犯人は逮捕できなかったそうです。日本人を家に連れて行く際、わざと裏道をぐるぐる回って行って、どこに連れていかれたのか分からないようにしたのです」

 カンボジアの治安は、かなり危険な状態という。

「スリやひったくり、置き引きが多発しています。街中でスマホを見ていると、さっと持って行かれます。強盗もかなり起こっています。ダマされないためには、カンボジア人から日本語で話しかけられても一切無視することです。日本人とわかったらしつこくまとわりついてくるので、何も答えないのが無難ですね」

勝丸円覚
1990年代半ばに警視庁に入庁。2000年代初めに公安に配属されてから公安・外事畑を歩む。数年間外国の日本大使館にも勤務した経験を持ち数年前に退職。現在はセキュリティコンサルタントとして国内外で活躍中。「元公安警察 勝丸事務所のHP」https://katsumaru-office.tokyo/

デイリー新潮編集部

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