プロ野球「成績不振」でもなぜか“クビ”にならない選手は一体何が違うのか?
最終的には“人間性”
ここまでは、ポジション特性や選手の能力について触れたが、プレー以外の面でも“生き残る要素”というのはあるそうだ。
「ドラフト1位の選手は、それだけ高い契約金を払っているわけで、球団としての期待も大きいわけですから、簡単には切りませんよね。また、選手の出身チームも少なからず影響していると思います。逆指名制度はなくなりましたが、毎年のように、ドラフトにかかる選手が出る名門校、強豪校の選手は球団内にもOBの関係者は多いですし、あまり早く戦力外にしてしまうと、その後のスカウト活動に響くようなことがあります。それも言ってしまえば、“伝統の力”かもしれませんね……。あと、最終的には“人間性”です。練習に取り組む姿勢や生活態度がしっかりしていれば、若手のお手本にもなります。こうした評判は各球団の関係者に広がりますから。仮に自由契約になっても、他の球団でチャンスがもらえたり、スタッフとして球団に残れたりすることが多いです」(パリーグ球団の編成担当者)
逆に言えば、“期待の若手”と思われていた選手が、意外に早く自由契約になるのも、野球への取り組みや生活面に問題があるというケースが少なくないようだ。プロである以上、数字が求められることは当然だが、それ以外の部分が評価されるということもまた事実。華やかな活躍をする選手にスポットライトが当たる一方で、しぶとく生き残る選手もいる……それもまた“プロ野球の醍醐味”の一つと言えそうだ。
【2023年も生き残った主な選手と昨年の成績】
・西田明央(ヤクルト、捕手、プロ13年目)
10試合 4安打0本塁打1打点0盗塁 打率.308
・北條史也(阪神、内野手、プロ11年目)
32試合 8安打1本塁打7打点0盗塁 打率.186
・高山俊(阪神、外野手、プロ8年目)
38試合 10安打0本塁打0打点2盗塁 打率.189
・板山祐太郎(阪神、外野手、プロ8年目)
14試合 1安打0本塁打0打点0盗塁 打率.125
・中村祐太(広島、投手、プロ10年目)
一軍出場なし
・三好匠(広島、内野手、プロ12年目)
10試合 0安打0本塁打0打点0盗塁 打率.000
・大野奨太(中日、捕手、プロ14年目)
8試合 5安打0本塁打0打点0盗塁 打率.294
・岡田雅利(西武、捕手、プロ10年目)
1試合 0安打0本塁打0打点0盗塁 打率.000
・塩見貴洋(楽天、投手、プロ13年目)
一軍出場なし
・江村直也(ロッテ、捕手、プロ13年目)
一軍出場なし
※ポジションはNPBの守備位置登録
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