「ルフィ送還」が土壇場で延期に マルコス大統領もびっくりのフィリピン司法“ちゃぶ台返し”はなぜ起きた

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「いったい何が起きているのだ」

 司法省は裁判所に渡辺・小島智信両容疑者に対する告訴の棄却を求め、急遽、2日に二人の審理を実施する運びになった。

「これで送り出す側の見通しがようやく立ったと、双方、胸をなで下ろした。マルコス大統領訪日に間に合ったねと。警視庁は航空会社と調整した結果、7日に送還を決めました」(同)

 それが2月1日のことである。だが、その審理でまさかの大どんでん返しが起きた。裁判所は告訴を棄却せず、7日午前に再審理すると判断したのだ。

「警視庁幹部は『いったい何が起きたんだ』と慌てふためいていました。他国に失礼な言い方にはなりますが、本来、三権分立がある以上、棄却するか否かは裁判所が独自に判断するものです。けれど、ドゥテルテ時代に麻薬撲滅政策で超法規的な殺人を行ってきたような国家なので、まさか、政府の方針に裁判所が従わないとは誰も想定していなかった」(同)

先がまったく読めない

 7日午前に再審理されるが、結果を待ってから夜の便にリスケというわけにもいかないという。なぜ裁判官は棄却しなかったのか。現地で取材を続ける記者も首をかしげる。

「裁判官のキャラなのではないか。日本にもたまに独自色のある判断を下す裁判官がいますがあれと同じ。もちろん棄却しないと完全に決めたわけではなく、慎重に証拠を調べてから判断したいということなんでしょう。この結果を受け、レムリア氏も『2人を先に送還する方向で調整したい』と話していますが、日本側がそれを呑むかは未知数です。もっとも怖いのは、裁判所が審理続行を決めること。そうなったら裁判が終わるまで2人の引き渡しが先延ばしされることになってしまう。場合によっては1年以上かかることも予想されます」

 いつになったら終わるのか、先が見えないーー。あちこちからこんなため息ばかり聞こえてくるのである。

デイリー新潮編集部

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