次の朝ドラ「らんまん」に出演する島崎和歌子 意外と知られていない女優歴33年の評価

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女優としての実績はある

 島崎の転機が1991年に始まったTBS「オールスター感謝祭」(同)のMCに起用されたことなのは知られている通り。バラエティ番組の水が合った。ここでも明るさが生かされた。一方、この時期にも女優として大きな仕事をしている。故・大林宣彦監督による新・尾道3部作の第1作「ふたり」(1991年)に重い役柄で出た。

 当時18歳の石田ひかり(50)が演じた主人公の高校生が所属する演劇部の先輩役。文化祭で上演するミュージカルの主役に石田が推されたことに島崎は嫉妬し、嫌がらせをする。その結果、主役の座を奪い取った。

 島崎は文化祭終了後に笑顔でそれを石田に打ち明け、握手を求めた。だが、石田は島崎の頬をバチンと平手で打つ。こう書くとドロドロしているものの、さすがは名匠・大林監督。観る側を「10代のころは、そんなこともあるよね」と、懐かしい思いにさせた。

 石田と島崎も大林監督の演出に応えた。石田の演技は若いころから巧みだったが、島崎もうまかった。根っからの意地悪少女に見せなかったので、観客は後味が悪くなかった。

 やはり島崎が天性の明るさを漂わせていたからだ。これは大きい。明るさはいくら稽古を積んでも得られない。大林監督もそこに期待したのだろう。

 島崎は朝ドラも経験済み。遠野なぎこ(43)がヒロインを務めた「すずらん」(1999年度前期)に出演した。ここでも遠野の義姉という重い役どころだったものの、好演した。やはり島崎に合った陽性の女性役だった。

 福山雅治(53)が主人公の坂本龍馬に扮したNHK大河ドラマ「龍馬伝」(2010年)にも出た。「らんまん」と同じく土佐を舞台にした作品だ。ご記憶の人も多いはず。演じたのは龍馬の兄嫁・坂本千野。この役柄も明るく豪気な女性でハマっていた。

 島崎は芸能生活の大半をバラエティ番組畑で歩んできたが、軸足を女優に置いても明るいキャラが買われて、売れっ子になっていたのではないか。

 バラエティ番組もドラマも表現力が問われるという点で基本的に一緒だからである。事実、女優中心の道を選んだ小池栄子(42)は「クレイジージャーニー」(TBS)などでMCをやっても成功している。

 これからでも遅くはない。朝ドラをきっかけに大きく飛躍した女優は枚挙に暇がない。既にバラエティ番組界で1軍スタメンに入っている島崎だが、女優としても一線級を目指していいのではないか。

 現実味のない話ではない。キムラ緑子(61)や西田尚美(52)ら40代から売れっ子になった女優は数多い。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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