水球で前代未聞の“水連が敗訴”という事態が 「幻の劇的ゴール」を巡り日本スポーツ仲裁機構が「著しく合理性を欠く」と批判

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“三笘の1ミリ”でスペインに勝った森保監督が、ホテルに戻り余韻に浸りながらシャワーを浴びていた時、突然電話が鳴り“ゴールは無効。試合は引き分け”と伝えられたら――。

 一昨年の水球日本選手権でそんなことが起きていた。

 秀明大学水球クラブとNSSU(日本体育大学)ウォーターポロクラブの女子決勝は壮絶な試合となった。12-12の同点で最終ピリオド終了1秒前、秀明大クの選手が超ロングシュートを決めたのだ。三笘ばりの劇的ゴールは日本水泳連盟公式チャンネルで視聴できる。

 試合後、表彰式が行われ、チームは解散。監督も自宅に戻って犬の散歩をしていた時、“ゴールは無効。試合は引き分けで両校優勝”という連絡が届いたという。

 無効とされたのは、“時計に不具合があった”とNSSUが抗議したためだ。

 一方の秀明大クも、規則に定める時間内に抗議が行われなかったなどと逆抗議。水連の不服審査会に不服を申し立てたが、審査会は秀明大クの訴えを審理することなく却下。秀明大クは日本スポーツ仲裁機構に仲裁判断を求めていた。

極めて異例な判断

 そして1月20日、機構からその判断が下された。

「秀明大クの申し立てを却下した水連を『著しく合理性を欠く』と批判し、却下を『取り消す』という判断を下したのです」

 と全国紙デスクが語る。

「事なかれ主義で、何かと団体側の肩を持ちたがる機構の性質上、極めて異例な判断といえるでしょう」

 水連は申し立て料金の負担も命じられ、事実上の敗訴である。決勝点を認めるよう求めた秀明大クの訴えに対する判断は回避されたが、

「『実質審理を行うことを期待する』という、いわば差し戻し判決なので、水連は審査会を開かざるを得ない。そこで自らミスを認めるか、認めなければまた機構で争うことになる。同じ法廷戦術では再び敗訴が濃厚で、幻のゴールが復活する」

週刊新潮 2023年2月2日号掲載

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