今もジャニーさんのブロックサインを思い出す……一人三役・錦織一清が語る舞台「サラリーマンナイトフィーバー」

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サラリーマンへのエール

錦織:僕もいろいろ経験させてもらいました。ドラマの撮影では、ロケバスで現場に行ってメイクして、1日に撮れるのが7~8分なんてことがよくありました。何時間もかけて現場に行って、2~3行の台詞を言って終わりというのが、なんだか僕の性には合わなかったんです。舞台は初日を迎えるまで、仲間と同じ釜の飯を食っている感じで家族的なんですよ。一緒に作り上げているんだなと。もちろん映像に比べて収益は低いんですが、代えがたい生きがい、やりがいがあるんです。それはジャニーさんが、飽くなき舞台との戦いを続けてきたからだと思うんです。あの人はお酒を飲むわけでもないし、ゴルフもやらない。夜に銀座に行くわけでもない。目が覚めてから寝るまで、舞台しかない人でした。だから僕なんか勝てないですよ。

――では、芝居で何を目指しているのか?

錦織:まあ、カッコいいことをやりたいんですよ。今ある演劇界をどうこうしようなんて大それた考えはないです。例えば振り付けだって、同じ振付師から同じことを教われば、みんな同じ振り付けです。その中で踊りこなす、カッコいい踊り方があるんです。振り付けを覚えるだけでなく、カッコいい踊り方ができるまでには時間がかかる。お芝居もカッコいい演じ方があるんじゃないかと思っているんです。斜に構えてキザにしゃべるということではなく、カジュアルにしつつカッコいい芝居ができないか。つかこうへいさんはご自分の芝居について、「俺の芝居なんてどれ見たって同じだよ」とおっしゃっていましたが、つかさんの作品で共通しているのは、最初にずっこけて出てこようとも、最後には登場人物の全員が勇敢な人間であることがわかることです。今回、「サラリーマンナイトフィーバー」で僕が大切にしたいのは、毎日、満員電車に揺られているサラリーマンが勇敢に戦っているというスピリットを入れたかった。もちろん、働いているすべての方が勇敢に生きていると思うんです。僕みたいな歌唄い、舞台で芝居しているような人間がそんなことを思うのはおこがましいかもしれないけど、この年になってささやかながらですけど、エールを贈らせていただきたいと思っています。

※後半はジャニーズ事務所について話してもらった。

【以下、ジャニーズを辞めた本当のワケ 後編に続く】

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錦織一清オフィシャルサイト
https://unclecinnamon.com/
舞台「サラリーマンナイトフィーバー」東京公演特設サイト
https://fanicon.net/promotions/34

デイリー新潮編集部

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