30年の潜伏後、逮捕されたシチリアの大ボスをイタリア政府が血眼で探した大きな理由
1月16日、30年間逃亡し続けていたマフィアの大ボスが逮捕された。偽の身分証明書を使って治療に赴いたパレルモ市内のマッダレーナ私立病院でのことだ。羊革のジャケットに高級時計をしていたボスは、入り口で待ち構えた治安警察の特捜班の男たちに取り囲まれ、観念していたのか、その名を聞かれると、物憂げに「マテオ・メッシーナ・デナーロだ」と答えたという。
世界的なニュースとなったこの逮捕劇の背景について、『シチリアの奇跡―マフィアからエシカルへ―』(新潮新書)の著者でノンフィクション作家の島村菜津さんが2回にわたって解説する。...