鴻上尚史vs.時事通信社長 原稿ボツ騒動の余波、社長は「鴻上氏は大人げない」

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「少し大人げないんじゃないか」

 鴻上氏に原稿を依頼した記者と、原稿に修正を加えたデスクにも見解を尋ねたいところだが、二人とも、

「すべて社長室が対応することになっていますので」

 という返答。そこで社長室に聞くと、

「鴻上尚史先生に不快な思いをさせてしまったことについては、大変申し訳なく思っております。結果としてこうした事態になってしまい残念です」

 と回答したが、ここはあらためて境社長の見解を聞きたい。直撃すると、

「(鴻上氏の)やり方が違うんじゃないか、ということです。一方的に社名までさらす必要があったのか。そこだけですよ。少し大人げないんじゃないかという話です。僕らだって、他人の原稿を見て“初稿はひどいものだったよ”なんて、(外には)絶対に言いません。とはいえ、うちの対応にも問題がありました。もう少しコミュニケーションを大事にしないと、あれだけの大家に“美しくない”とか言ったら、そりゃ怒りますよ。その後、手紙で謝罪したと聞いています」

 鴻上氏のツイートは「腹いせ」なのか。

「そうなんでしょうね。(ブログには)あれだけSNSで拡散されているわけですから、それに対する私の主張を書いただけです」

 鴻上氏はどう言うか。だが事務所に聞くと、

「投稿した以外で申し上げたいことはないので」

 本人に尋ねても、

「お断りします」

会社の恥を社内に広めた

 一方、社名をさらされたと憤りながら、鴻上氏の原稿に対し「感心しなかった」という感想を述べる境社長も、〈大人の対応〉を知っているとは到底思えない。

 ところでその後も、境社長のブログについて、「時事労組ニュース」が1月13日付で〈社長ブログ、大丈夫?〉と書くと、境社長がブログで「組合ニュース、大丈夫?」と応酬する始末。時事通信関係者が言う。

「鴻上氏との一件は、社長がブログに書かなければ知らなかった社員が多い。鴻上氏の原稿を契約紙に配信できなかったことを重く受け止めていれば、会社の恥を社内に広めなかったはず、という声が目立ちます」

 人ごとながら、「大人になる」とはどういうことなのか、考えさせられてしまう状況なのである。

週刊新潮 2023年2月2日号掲載

ワイド特集「異次元の風が強く吹いている」より

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