人口減少でディストピア化する日本 豊かに暮らすための「四つの方策」とは
やみくもな地方移住より「集住」
国土交通省の資料によれば、00年から20年までは人口5万人未満の小規模自治体において人口減少が進んだ。しかしながら、40年までに著しく減るのは人口5万~10万人の自治体で、00年比22%減となる。10万~30万人といった地方の中心的都市も14%減となる。商圏人口が減れば多くの民間企業が撤退を始め、電気やガス、水道といった公共サービスは割高となる。
民間企業が撤退すれば、地域の雇用は減る。こうなると都会への人口流出が激しくなり、それによってさらに民間企業が立地できなくなる悪循環を生む。
政府や地方自治体は東京一極集中を是正すべく、デジタル田園都市国家構想総合戦略において27年度に地方と東京圏間の転出入者の均衡を図ることを打ち出した。年間1万人の地方移住を図る方針だが、だからといって人里離れた場所に思い思いに住む人が増えれば過疎地を拡大させる結果となる。
地方移住自体を否定するつもりはないが、企業が立地しうるだけの人口規模を維持できなければ、そこに住む人の生活は不便となる。撤退を余儀なくされる民間企業の側に立って考えると、そこに消費者がいることが分かっていながら費用対効果が悪くて販売機会を逸するということにほかならない。国内マーケットがさらに縮むようなものである。
地方圏で商圏規模の縮小スピードを緩めるためには、既存の市街地などに「集住」することが求められる。
残念ながら、日本の衰退の背景となっている人口減少を止める方策は見当たらない。瀬戸際に追い詰められている以上、過去の成功体験を捨て去り、思い切った改革に取り組むしかないのである。現状維持バイアスにとらわれ続けるならば、日本に明日はない。
【警察官や消防士のなり手がいなくなる? ディストピア化する日本の未来を予測する、前編を読む】
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