人口減少でディストピア化する日本 豊かに暮らすための「四つの方策」とは

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「なくてはならない存在」を目指す

 世界が必要とする分野で付加価値を向上させ、新興国の追随を許さない製品やサービスを生み出すことで、海外マーケットを取り込める。

 そもそも、人口減少が止まらない以上、日本はいずれ海外に活路を見出さなければならない。だが、新興国をライバルとしたままやみくもに打って出ても“負け戦”に終わるだけだ。それよりも、高付加価値化によって「なくてはならない存在」となった上で、勝負したほうが成功確率は高くなる。

 もちろん、安価で安定的な提供を求められる日用品メーカーなど高付加価値化にそぐわない業種もある。こうした業種は、経営の多角化を図ることだ。高付加価値化の製品やサービスを扱える部門を創設したり、企業合併をしたりすることで企業全体として採算がとれるようにするのである。

人を「資本」として投資できるか

 高付加価値化には、まず独創性が不可欠だ。だが、それを生み出す若い人材は、少子化の進行でどんどん減っていく。こうした状況を打開するには、従業員一人一人のスキルを底上げし続けるしかない。政府も旗を振りはじめたリスキリング(必要なスキルの獲得)などが重要となる。二つ目にすべきは、個々のスキルアップによって労働生産性を向上させることである。「稼ぐ力」を高めるのだ。

 資源に乏しい日本が、人口が減ってもなお経済成長を続けるためには、世界が必要とする分野において他国を圧倒するアイデアを生み出し、技術力で差別化を図っていくことに尽きる。それは人口が増えていた時代においても求められてきたことであり、人口が減る時代においてはなおさら傑出した分野を作ることが求められる。そうした意味においても人を「コスト」と捉えてはならない。「資本」として投資していくことが非常に大事だ。

商圏を維持せよ

 三つ目は、マーケットの掘り起こしである。

 高齢化率はどんどん上昇し65年には38.4%となる。高齢消費者が増え続けるのに対し、多くの業種ではシニア向けビジネスに本気で取り組めていない。高齢者の暮らしぶりが十分理解できておらず、高齢者マーケットのニーズに対してイメージを描けていないのである。

 例えば、ファッション業界を例に挙げると、若い世代向けにはセンスの良さや素材の新しさが付加価値となってきたが、高齢消費者が服を買うときの基準はこれらに加えて、脱ぎ着のしやすさや、洗濯のしやすさなどが加わる。

「着て行く場所」の提供も必要だ。「買っても着て行くところがない」となると購買そのものをしなくなってしまう。日本に圧倒的に不足しているのは“大人の社交場”である。高齢消費者のみならず、中高年にとっても「ハレの場」は少ない。

 このように、高齢者マーケットを掘り起こすには、付加価値を高めたり、新たな需要を創出したりする必要がある。その際に異業種と連携することで、思わぬ効果が生まれるかもしれない。

 四つ目は商圏規模の維持だ。縮小していく国内マーケットを分散させたのでは、一つ一つのマーケットの勢いが削がれていく。

 とりわけ、人口減少がすでに始まっている地方圏では重要なポイントとなる。今後は過疎エリアが広がっていくとみられるためだ。

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