「私の母は肋骨10本折れて亡くなりました」“サ高住”の高齢者に起きた悲劇を息子が激白 虐待の疑いで警察も出動する騒ぎへ

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 サ高住――サービス付き高齢者向け住宅とは、バリアフリーが完備された、高齢者向きの賃貸住宅のこと。食事提供やレクリエーションを行う住宅型有料老人ホームとは違い、基本的なサービスのメインは安否確認や生活相談のみの、自由度の高い住宅である。だが、その一方で、介護が必要な高齢者も入ることのできる、いわゆる介護型のサ高住も数多く存在する。都内にある介護型サ高住に住む90代の女性、真知子さん(仮名)は、入居中の昨年8月に、呼吸困難と胸の痛みを訴え、病院へ緊急搬送。診断の結果、肋骨が10本も折れていたことが判明した。虐待を疑った医師は警察に通報、一方の真知子さんはその後サ高住に戻ることはなく、12月にこの世を去った。介護の現場で何があったのか。息子の和男さん(仮名)が胸中を語った。

虐待の疑い

「要介護認定された母は、一人暮らしの不安から、私を含めた家族と相談したうえで、去年の3月、介護型サ高住への入居を決めました。とはいえ基本的には元気で、場所も都心にほど近く、部屋も綺麗だったため、本人も納得していました。もともと、骨粗鬆症を患っていて、4月に軽く転倒し、その時 に肋骨2本にひびが入っていた。ただ、医師の診断では軽傷とのことで、本人も元気でしたので、そのままサ高住に住まわせ続けました。今思えば、帰さなければよかったと思っています」

“事件”が起きたのは、8月28日の深夜。真知子さんは、急激な胸の痛みを覚え、常駐しているスタッフを呼んだ。スタッフは救急車を手配。深夜4時頃、救急車は到着したものの、サ高住を出発したのは午前7時過ぎだったという。

「深夜はスタッフの方が一人で、救急車に同乗するとその間、留守番する人間がいない。だから交代のスタッフが来る朝の7時まで待っていたということでした。いずれにせよ、私も一報を受け、朝病院へ駆けつけたのですが、お医者様から、“肋骨が10本も骨折していました。転んだ形跡もなかったので、虐待の疑いがあると思い、警察に通報しました”という説明を受けたのです」

何もなかった

 搬送された病院は満床だったため、真知子さんは転院し、入院生活がスタートしたものの、体調の回復が遅く、退院の目途は立たなかった。

「そうこうしているうちに、母が入っていたサ高住の運営会社から調査結果の連絡を受けたのですが、“サービス中の事故や、虐待はなかった”というだけ。しかも、調査の内容というのが、単に、関わったスタッフさんに聞いただけだった。静かに暮らしていた母の肋骨が、何もしていないのに、自然に10本も折れるというのでしょうか。故意じゃないにしても、なにかしらあったに違いないし、だからこそ医者も警察にまで通報したわけです。それを、なにもなかった、という結論で片付けられてしまったことに、憤りを隠すことができません」

 真相がわからぬまま、真知子さんは12月20日、入院先の病院で息を引き取った。享年、92。

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