「東京は地図アプリがあっても迷う街」 作家・実石沙枝子が語る東京の難しさ
初めての渋谷で「田舎者丸出し」
『きみが忘れた世界のおわり』(講談社)で第16回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞しデビューした、作家の実石沙枝子さん。静岡県出身の彼女が、スマホを片手に東京の道に迷うとき、目に入るたくさんの人々を見て考えることは――。
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生まれも育ちも静岡な都会っ子なんていないけど、あえて言わせていただこう。田舎者である。
幼いころは、東京=ディズニーランドだと思っていた。そんなわたしが東京をある程度正確に認識したのは、小学校高学年のころのこと。...