春節で100万人死亡?ゼロコロナ解除で威信を失う中国共産党 Z世代から今後“挑戦状”も

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 中国は1月21日から春節(旧正月)の大型連休に入った。ゼロコロナ政策が解除され、行動制限のない春節連休は3年ぶりだ。

 中国政府は春節期間中に延べ約21億人が国内移動すると予測している。コロナ禍前で約30億人が移動した2019年の水準は下回るものの、昨年に比べ倍増する。

「中国のゼロコロナ政策の解除は今年の世界経済にとって大きなプラス材料だ」との期待が膨らむ一方、中国国内で新型コロナの感染が急拡大するとの懸念が生じている。

 中国政府が昨年12月中旬に新型コロナに関する公式統計の発表を停止したことから、日々の感染などの状況はわからなくなっている。

 中国疾病予防コントロールセンター(CDC)の専門家は21日「国内人口の8割が新型コロナに既に感染した」とした上で、「春節の大移動で一部の地域で感染が拡大する可能性があるが、近く第2波が発生する可能性は低い」との見方を示した。

 だが、「人口の8割が感染した」ことについての具体的な根拠は示されなかった。

 中国政府は死者数について「昨年12月8日から1月19日にかけて7万人強に上った」と発表しているが、「実際の数はもっと多く、春節以降、飛躍的に増加するのではないか」との声が根強い。

 中でも最も過激な予測をしているのは英調査企業エアフィニティだ。

死者数100万人超の予測

 エアフィニティは17日「春節期間中の中国での新型コロナによる死者数は1日当たり3万6000人に達する可能性がある」との分析結果を公表した。春節は1ヶ月に及ぶことから、期間中の死者数は100万人を超える計算となる。

 感染状況については「ピークと谷を繰り返すのではなく、より長くより深刻なコロナの波に見舞われる公算が大きい」としている。今後、夏に向けて数百万人単位の死者が出ることになれば、中国の新型コロナによる死者数は米国(死者数は100万人強)を抜いてダントツの世界一となる。

 エアフィニティの予測は衝撃的だが、今後、新型コロナの感染拡大が確実視される中国の農村部の実態を見ると現実味を帯びてくる。

 農村部の高齢化は都市部に比べはるかに進んでいる。2015年の研究によれば、農村部で暮らす高齢者の8割以上が基礎疾患を持っており、新型コロナに対して極めて脆弱な状態にあるという。

 新型コロナは「免疫不全を抱える人の体内に長期間感染した状況下で持続的な変異を繰り返す」とされており、免疫力が落ちた中国の農村部の高齢者の多くが新型コロナに感染し、危険な変異型が新たに出現するのではないかとの不安が頭をよぎる。

 一方、農村部の医療体制は都市部に比べて貧弱だ。農村部の医療体制の拡充が計画されていたが、コロナ禍の3年間でむしろその能力は低下してしまった。農村部の医療従事者のレベルも極めて低いと言われている。

 農村部のこのような実態がゼロコロナ政策を正当化する最大の根拠だったが、習近平指導部はなんら対策を講じることなく、ゼロコロナ政策を突然解除してしまった。「『中国人民の安全を守る』という政府として最も重要な責任を放棄した」とのそしりを免れることはできないのではないだろうか。

 政府の責任放棄という点では都市部も同様だ。

 感染が急拡大する中、政府から支援を得られない都市部の住民は医薬品などを融通し、助け合いで生き抜こうとしている(1月19日付ブルームバーグ)。

 新型コロナのパンデミック発生から3年間、政府に強力に管理されていた約14億人の中国人は昨年12月以降、自力で生き残る方法を探らなければならなくなった。

 春節を控えた18日、習近平氏は現在のコロナ感染状況は「すさまじい」と認めつつも「夜明けはすぐそこまで来ている」と訴えたが、政府から助けもなくコロナ感染を耐えしのいでいる一般の人々にとってこの呼びかけはむなしく響いたことだろう。

 中国人は今、実質的に共産党抜きでの生活を体験しており、ゼロコロナ下で非常に大きな存在感を示していた共産党の影はこれまでになく薄くなっている。

 このような状況が続けば、「共産党による一党支配を受け入れる代わりに、国民の安全を維持し生活を向上させる」という、これまでの社会契約が無効になってしまう。

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