日本人研究者を感激させた「イギリスの名門貴族」ならではの「細やかな心遣い」
「ノブレス・オブリージュ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。直訳すれば「高貴なるものの責務」、つまり高い地位にある人は、それに見合うだけの社会貢献をすべきであるという意味である。
イギリスの王室や貴族の研究で知られる歴史学者・君塚直隆さんは、30年ほど前にオクスフォード大学に留学した際、ある名門貴族の御曹司が見せた細やかな心遣いに、「これぞ本物のノブレス・オブリージュだ」と感激したことがあったという。
君塚さんの新刊『貴族とは何か――ノブレス・オブリージュの光と影』(新潮選書)の「あとがき」から一部を再編集してお届けしよう。...