リブゴルフがテレビ放映権獲得 米「CWネットワーク」と結んだ“異例すぎる契約”内容とは

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 暦が2023年に変わってから目立った動きが見られなかったリブゴルフが、1月19日(米国時間)、喜び勇んでビッグニュースを発表した。念願だったテレビ放映権の契約を、米国のCWネットワークと正式に締結したという内容だ。「収入ゼロ」からスタートする異例の契約内容とそのメリットを解説する。【舩越園子/ゴルフジャーナリスト】

CWネットワークとは?

 CWネットワーク は2006年にCBSとワーナー・ブラザースの合弁企業として設立された。

 米国の3大テレビ・ネットワークといえば、ABC、NBC、CBS。これにFOXを加えて4大テレビ・ネットワーク、近年では新興のCWを加えて5大テレビ・ネットワークと呼ぶ人もいる。

 CWが放映している番組の大半は若者がターゲットだ。映画やドラマなどラインナップは多彩だが、これまでスポーツ中継はなかった。

 米スポーツイラストレイテッド誌によれば、リブゴルフとCWの放映権の契約は「最初の2年間はお互いにお金を払うことはなく、広告収入から得られた利益を折半する」という取り決めで、3年目からはCWがリブゴルフへ放映権料を支払う形へと移行する前提のトータル3年契約だという。

 ちなみにリブゴルフと激しく対立するPGAツアーは、CBS、NBC、ゴルフチャンネルの3社と2030年まで放映権契約を結んでおり、これら3社から支払われる放映権料の総額は年間7億ドルと推定されている。莫大なテレビ放映権料はPGAツアーにとって最大の収入源だ。

 今回、リブゴルフがようやくたどり着いた契約は放映権収入は「2年間ゼロ」だ。しかし、その間、間接的・結果的にもたらされるものがあると踏んでいるからこそ、リブゴルフのグレッグ・ノーマンCEOはCWとの放映権契約を高らかに発表したと見るべきなのだろう。

高かったテレビ放映のハードル

 2022年6月にサウジアラビアの政府系ファンドの支援を受けて創設されたリブゴルフは、昨年は年間8試合を開催したが、いずれもテレビ中継はなく、公式ホームページとYouTubeで3日間54ホールの試合を生中継してきた。

 リブゴルフそのものの物珍しさや人々の好奇心も手伝って、初戦や第2戦はそこそこの注目を集めたものの、視聴数はホームページもYouTubeも低下の一途を辿っていた。そんな中、テレビ放映権の契約を結んでファンを引き付けることは、リブゴルフにとって最大の課題だった。

 ノーマンCEOは方々へ働きかけては「テレビ放映権の契約を結ぶ日は近い」と何度も豪語していたが、なかなか「その日」はやってこなかった。

 全12チーム、48名が一斉にスタートするショットガン形式のリブゴルフの試合をテレビで生中継することは、技術的にもマンパワー的にも難しいと考えられ、それがリブゴルフの放映権契約のハードルを上げていると言われてきた。PGAツアー側の顔色をうかがってリブゴルフを敬遠する動きも、もちろん見られた。

 それでも昨年暮れごろには、FOXスポーツとの契約が近いという噂が広まった。しかしその内容は、リブゴルフがFOXスポーツから一定の放送時間を購入し、中継クルーも編集作業もリブゴルフが自前で行ない、“完パケ” でFOXスポーツに提供するというもので、リブゴルフの負担ばかりが増える一方的なオファーだと見られていた。

 それと比べたらCWとの契約は、「お互いにゼロから始め、儲けが出たら仲良く等分しましょう」という、きわめて友好的な内容と言えそうである。

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