同僚がストーカーに豹変 暴走のきっかけとなった「女性からのメール」とは 危険度をどう見分けるか専門家が解説
甘えが高じた脅迫的一行
20代の男性教師は、30代半ばの先輩女性教師とメールアドレスを交換しました。お互いに仕事の悩みを打ち明けることがあった。転職が決まった男性は贈り物をもらい、少しずつ恋愛感情を抱くようになりました。
その半年後、女性教師からのメールが途絶えるようになり、元の学校に連絡すると結婚して退職したと聞いてがくぜんとします。男性は「結婚おめでとうございます。もう二人で会うことはできないと思います。最後に会いたいです」というメールを送りましたが、返事は「会いません」というごく短いものでした。
このメールで自分の中にカチッとスイッチが入った、と彼は言います。あとは一気にエスカレートしていきました。
「では、今後は同窓会にも出られないのですか?」。返信なし。
「分かりました。あなたは僕に会いたくなくなったのですね。明日からは気持ちを切り替えるので、最後にどうか電話をください」。
返信は「お願いだから、もうメールしないで」。
これを見て男性は、「理由を教えてください。返事しないなら覚悟をしてください」と送ってしまいました。
おそらく最後の一行で女性は恐怖を感じたのでしょう。男性は警察に呼び出されて注意を受けました。
その足で私のところにやってくると、
「悔しい。僕はもうあの人を好きじゃないし、今は憎しみでいっぱいです。彼女は僕にいろいろと甘えるようなことも言ったので、僕を好きなのかと思ってしまった。彼女にも少しは責任を感じてもらいたいので、当時のメールを教育委員会と市長に送ろうと思うんです」
と涙を流します。
私は次のように言いました。
「この結果には、あなた自身にも責任がある。彼女は結婚相手がいるので、二人で会うのは気がとがめたんでしょう。彼女を追い詰めることで解決とするのか、一度は好きだった女性を守る気持ちで問題を解消するのか、よく考えてみたらどうですか」
人間関係というのは一線を引いていないと些細なことで問題になります。女性は結婚前に、男性に結婚することを言っておけばよかった。ちょっとしたことで互いに傷つくのはマナーレベルのトラブルですが、手を打たずに放置していると、いつの間にかストーキングという事態に発展してしまいます。
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ここまでは「行動レベル」での危険度の判断である。小早川氏によれば、同時に「心理レベル」での判断も重要だという。その見分け方については後編に譲ることとする。
※『「ストーカー」は何を考えているか』より一部を抜粋、再編集。