人口世界一になるインドの企み 目障りなライバル中国と大規模軍事衝突も

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 中国政府は1月17日「昨年末の同国の総人口が前年末に比べ85万人減少し、14億1175万人だった」と発表した。中国の人口が減少するのは1961年以来61年ぶり、1978年に改革開放路線に転じてからは初めてだ。

「インドの昨年の人口は14億1200万人」と国連が推計していることから、中国は1949年の建国以来、維持し続けた首位の座から転落した可能性が高い。

 人口減少時代に入り国力の低下が懸念される中国に対し、インドは人口の半分が30歳未満で世界で最も急成長を遂げる大国になっていくと期待されている。

 インドの昨年の新車販売台数は約473万台と日本を抜いて世界第3位となった。日本企業にとってもインドは最も有望な海外の事業展開先となっている(国際協力銀行調べ)。

 インドの国内総生産(GDP)は昨年、旧宗主国の英国を上回って世界第5位に浮上し、2025年にドイツ、2027年に日本を追い越すことが見込まれている。

 経済力の拡大を続けるインドは、大国としての地位固めにも躍起になっている。

グローバルサウスの代表

「あなた方の声はインドの声であり、あなた方の優先課題はインドの優先課題だ」

 インド政府が1月12~13日に主催した「グローバルサウスの声サミット」の開幕セッションで、モディ首相は参加した約120の国々の代表にこのように語りかけた。

 グローバルサウスは「途上国」のことを指し、アフリカ、ラテンアメリカ、アジアの新興国などが当てはまる。これに対し、経済的に豊かな少数の国々は「グローバルノース」と呼ばれている。

「ウクライナ戦争や気候変動問題など世界の問題のほとんどは先進国に責任があるのに、被る悪影響は自分たちの方が大きい」との不満が渦巻く現状を踏まえ、モディ首相は「グローバルサウスの声を増幅させる」と述べた。今年の20カ国・地域の金融世界経済に関する首脳会合(G20)の議長国を務めるインドは、グローバルサウスの代表として、現代版「南北問題」の解決に向けて意欲を示した形だ。

 グローバルサウスの盟主を目指すインドだが、目障りなライバルがいる。長年にわたり、グローバルサウスの代表として外交を展開してきた中国だ。

 インドのG20における対応は明らかに中国を意識したものになっている。

 G20では20カ国・地域だけでなく、ゲスト国を招くことが通例となっている。インドはバングラデシュ、モーリシャス、オマーン、シンガポール、アラブ首長国連邦(UAE)といったインド洋沿岸国を中心に招待する計画だ。インド洋でも急速に存在感を高める中国に対抗するため、インドはこれらの国々と連携を強化することが狙いだろう。

 インドは軍事面でも中国への牽制を強めている。

 昨年11月末、インドの元外務次官はG20各国の大使とともにアンダマン・ニコバル諸島を訪問した。アンダマン・ニコバル諸島はマラッカ海峡の出口に位置しており、インド軍が近年、軍事拠点化の動きを強めている。

 インドは、中国のシーレーンにとって死活的に重要であるマラッカ海峡の出口を封鎖できるよう準備を進めているのだ。

 インドが対抗心を露わにしているのは、領土問題を始め、中国の存在が軍事的に深刻な脅威となっているからだ。

 昨年12月9日、中国との国境係争地域であるインド北東部アルナチャルプラデシュ州でインド・中国軍双方に負傷者が出る事案が発生した。

 インド・中国両軍は2020年に北部ラダック地方の係争地で衝突し、45年ぶりに死者が出た。2021年には北東部シッキム州でも小規模な衝突が起きている。

 インドと中国の間の国境は全長3000キロメートル以上に及ぶ。実効支配線が設定されているものの、詳細について合意に至っていないため、互いに「相手が境界を越えて領土を拡張している」との非難を繰り返し、現在に至っている。

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