巧妙化する「SNSいじめ」子どもを被害者にも加害者にもしない方法 証拠の残し方、フィルタリングの使い方は?
性犯罪の入口になるケースも
〈目が届かないどころか物理的には存在しないネットの中でのいじめや、そこから広がる世界をすべて把握し管理しきるのは並大抵のことではない。フィルタリング機能などを活用して子どもを守ってもなお不安は残る。
最近では、ゲームでの不特定多数の大人との接触が子どもに対するわいせつ行為、性犯罪の入り口となるケースも多い。〉
いじめに遭ってしまった子どもは、学校など本来自分がいるはずだったところに居場所がなくなってしまいます。そこでネット上に自分の居場所を求めるケースも少なくありません。しかしネットの世界は、さらなる危険を呼び込むリスクに満ちています。
例えば、オンラインゲーム。ゲームをしない大人は知らないかもしれませんが、最近のゲームはネットでつながった仲間と一緒に協力してプレーしたり、ゲームの中でチャットをしながら交流を深めたりできるものが少なくありません。
2020年9月、横浜市でオンラインゲームをきっかけに知り合った小学4年生の女児を誘拐した男が逮捕される事件がありました。9歳の女児と当時38歳だった犯人の男はスマホのゲームのチャット機能で会う約束をしたといいます。この女児は親が使わなくなったスマホを自宅のWi-Fiにつなげてゲームをしていたということですから、「うちは絶対大丈夫」とは誰にも言えないところまでこうした犯罪の影は忍び寄ってきています。
子どもは必ずサインを出している
ゲームの中で出会う大人は子どもにとって同じゲームをする仲間、時にゲームのコツなどを教えてくれる“いい人”なんですよね。
いじめられた子どもは、親にも学校の先生にも相談できずに、孤独を深めていきます。孤立化した子どもたちは、ゲームの中の匿名SNSで自分の境遇や心境を吐露することで、ネットに自分の居場所を求めるケースも少なくありません。このように弱っている子どもたちの心の隙を突く犯罪もまた増加しているのです。
〈犯罪に巻き込まれるのはごく一部、そんな極端な例を挙げて心配していては何もできないと訝(いぶか)る人もいるかもしれないが、LINE上での何気ない一言、言葉や感情の行き違いがきっかけで疎外感を覚えた子どもが、そのつらさを身近なツールであるTwitterなどでつぶやき、そのせいで犯罪の標的にされてしまう。親が知らない子どもの精神世界が、危険な外の世界に直結していることは見落とせない。〉
ネットへの親和度の差などから、子どもたちの世界は親にとってますます“よくわからない”ものになっています。利用規約を子どもと一緒に読みましょうと提案しているのも、子どもと一緒に学んでいくことが大切だから。子どもがネットいじめに遭ったとき、トラブルに見舞われたとき、ほとんどの親は「全然知らなかった」と言います。でも、子どもは必ずサインを出していたはずです。
〈ストレスを感じて異様に喉が渇きやすくなっている。日曜日の夕方から登校する月曜が近づくにつれて体調を崩すなど、子どもたちのサインは千差万別だが、必ずどこかに現れる。〉
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