阿部慎之助“鬼軍曹”宣言で次期監督「消滅」危機 宮本慎也元ヘッドの「二の舞」懸念の声
「中島」「松田」の2000安打にも遠慮なし
プロ野球の巨人は1月20日に東京都内のホテルで、2月1日からのキャンプに向けたスタッフ会議を開いた。3年ぶりの覇権奪回が懸かる今季へ、山口寿一オーナーからは「優勝が必達目標」との厳命が下ったという。緊張感に包まれた会議の中で、ひときわ存在感を放ったのが、昨季の作戦兼ディフェンスコーチから昇格した阿部慎之助ヘッド兼バッテリーコーチ(43)だった。今季から新加入した長野久義外野手と松田宣浩内野手、そして中島宏之内野手とベテラン3人を特別扱いせず、全員を2軍に置くことも辞さない考えを示したのだ。大目標の2000安打が近い中島と松田でも一切手心は加えないようで、まさに“鬼軍曹”を宣言した格好だ。【球人ニキ(たまんちゅにき)/野球ライター】
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長野、松田、中島は1軍キャンプで自主調整が許された「S(スペシャル)班」に名を連ねた。
「3人とも全盛期のように1年を通しての活躍は計算できない。代打で出塁すれば(走力がないため)代走が必要となるケースなども想定され、控えとして使い勝手がいいとは言えないところもある。(今オフ移籍した)長野と松田に関しては補強ポイントではなく、獲得自体に疑問が付いた。広島で出番を失いつつあった長野、ソフトバンクで戦力構想から外れ、原(辰徳)監督が王(貞治=ソフトバンク)会長に獲得を依頼されたという松田だけに、阿部が実力至上主義を打ち出した気持ちは理解できる」(元NPB球団監督)
巨人は今オフ、大型補強をもくろみながらもフリーエージェント(FA)市場では成果がなかった。戦力の上積みは未知数である外国人選手とルーキー程度にとどまっている。シーズンへの展望が開けない中で、阿部ヘッドの存在こそが最大の補強となるかもしれない。
「阿部ヘッドは指導者に転身してからは『チームに貢献できていない』との自覚を口にした。会議では出席者の前で『監督を男にしたい』と言い切った。原監督はその言葉を頼もしそうに聞いていたそうだ」(巨人担当記者)
原監督のスケープゴート
本来、ヘッドコーチは監督の代わりに泥をかぶるのが役目だ。しかし、昨季の巨人の実情はやや違ったようだ。
NPB球団の元監督が明かす。
「(昨季1軍ヘッドコーチだった)元木(大介=現1軍作戦兼内野守備コーチ)は対コーチ、選手で嫌われ役に徹し切れず、原監督の防波堤としての機能を果たしていなかった。原巨人には以前、伊原(春樹)さんとか、嫌われ役のヘッドが存在していたし、そんな時代は強かった。阿部は川相(昌弘総合)コーチや大久保(博元打撃チーフ)コーチら年上のスタッフもまとめないといけない難しい立場だが、今の時代の指導者にしては厳しさを持ち合わせているだけに、そこは原監督も頼みにしているようだ」
期待感が高まる一方、阿部“鬼”ヘッドの誕生は自身の次期監督の座を危うくするのではないかとの懸念も生じている。
巨人は昨季まで2年連続でリーグ優勝を逃し、最下位の可能性が消えなかった昨季後半には原監督の進退問題が取り沙汰された。原監督は今季が3年契約の2年目だが、成績次第では問題が再燃しかねない。
「今後、阿部が嫌われ役に徹すれば徹するほど、原監督のスケープゴートとしての色が濃くなる。監督が退任に追い込まれれば当然、一蓮托生となる。或いは、巨人にはヘッドが監督の代わりに引責辞任した歴史があるので、原監督が残って阿部がヘッドの地位を追われる事態も起こり得る」
元監督はこう指摘した上で、2019年のヤクルトの宮本慎也ヘッドコーチの二の舞を演じる可能性に言及した。
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