警官、自衛官のなり手がいない! 2744集落が消滅! 少子化に打つ手なし「ディストピア日本」の未来図
簡単には撤退できない
過疎化が進み商圏人口が少なくなれば、民間事業者は経営を維持できなくなり撤退を始める。水道や電気などの公共サービスは人口が減ったからといってただちに撤退するわけではないが、利用者が減れば事業者の収入が減るという点においては一般の民間事業と違いはない。
簡単に撤退できない以上、値上がりは避けられなくなる。EY新日本有限責任監査法人と水の安全保障戦略機構事務局がまとめた「人口減少時代の水道料金はどうなるのか?」(21年版)は、1カ月あたりの平均料金について18年の3225円から、43年には1.44倍の4642円へと1400円ほど上昇すると予測している。
事業の性質上、コストの削減には限界がある。過疎地域に1軒でも利用者があればメンテナンスを続けなければならないためだ。水道管など設備の点検や修繕は商圏人口の減少に合わせて単純に縮めるわけにはいかない。こうした制約がある中で過疎エリアが広がり利用者が減り続けたならば、経営効率はどんどん悪化していく。
人口稠密(ちゅうみつ)地と過疎地を比較して1世帯あたりにかかるコストに大きな差が出てくれば、人口稠密地の利用者の中に「本来負担すべき額より多く支払っている」と感じる人が現れても不思議ではない。過疎地の住民に対して「受益者負担」を求める声へとつながることも考えられる。
人口減少社会でこれから起きることの一端を明らかにしてきたが、このままでは社会を根底から覆す大変化がわれわれを待ち受ける。発想を大きく切り替え、覚悟を決めて大胆に社会の仕組みを変えていかなければ、日本は沈むこととなる。
【ディストピア化する日本で豊かに暮らす方策について、後編を読む】
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