警官、自衛官のなり手がいない! 2744集落が消滅! 少子化に打つ手なし「ディストピア日本」の未来図
イノベーションが生まれなくなる
若者の減少は、日本からイノベーションも奪っていく。「新しいこと」「楽しいもの」は若者の無鉄砲とも思える挑戦と失敗の中から誕生することが多い。だが、人手が少なくなると社会は失敗に不寛容となる。勤務経験の浅い人に対して、新しいことへの挑戦より目の前の成果を出すことを求めるようになったならば、どんな優秀な若者であっても力を存分に発揮できない。こうなると組織はマンネリズムに支配されることとなる。
資源小国にとって技術力の衰退や新しき発想の欠如は致命的だ。人口減少の最大の弊害は、日本社会が「若さ」を失うことにあるといってよい。
2744集落が消滅
人口減少は地域社会にも深刻なダメージを及ぼす。鉄道の赤字ローカル線の存廃問題が急浮上している。都市圏での乗客数の減少に苦しむJR各社に経営上の余裕がなくなってきたことが理由だ。一方、廃線をきっかけとして人口流出が加速することを恐れる沿線自治体からは存続を求める声が上がっており、路線バスへの転換ではなく、地方自治体などが施設や車両を保有し、鉄道会社は運行のみを担う「上下分離方式」を模索する動きもある。
だが、鉄道の存続か路線バスへの転換かは本質的な問題ではない。どちらにせよ、利用者が増えなければ持続できないからだ。すでに代替の路線バスまで廃止になったケースが出てきている。ここで問われているのは、地域の商圏人口なのである。
ローカル線の赤字問題は鉄道会社特有の事例ではない点にも気付く必要がある。「今日の鉄道」は「明日の水道や電気」の姿なのだ。
「地方」といっても、過疎地域ほど人口の減るスピードは速いが、人口減少が進めばそうした地域は全国各地にどんどん増えていく。総務省の「過疎地域等における集落の状況に関する現況把握調査(最終報告)」(19年度)によれば過疎地域の集落の総数は6万1511で、15年度の前回調査と比べて0.6%(349集落)減った。人口にすると6.9%(72万5590人)減だ。このうち139の集落は無人化した。住民の半数以上が65歳以上という限界集落は22.1%から32.2%へと増加しており、2744集落はいずれ消滅すると予測されている。
[6/7ページ]