警官、自衛官のなり手がいない! 2744集落が消滅! 少子化に打つ手なし「ディストピア日本」の未来図

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出産可能女性は25年で25パーセント減少

 出生数の減少を加速させている要因は複雑である。男女の出会いの機会が減ったことや低収入の若者が増えたことなどが挙げられるが、これらはいまや根源的な要因ではない。しかも、日本にとって深刻なのは、子供を出産し得る女性数がこれから驚異的に減っていくことである。

 出産可能な女性がどれぐらい減るのかは、年齢別人口を比較すれば簡単に予測できる。厚生労働省の人口動態統計によれば、2021年に誕生した子供の母親の年齢の85.8%は25~39歳である。

 そこで総務省の人口推計(同年10月1日現在)においてこの年齢の日本人女性数を調べてみると943万6千人だ。一方、25年後にこの年齢に達する「0~14歳」は710万5千人なので24.7%も少ない。四半世紀で4分の3になるのでは、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供数の推計値)が多少改善したとしても出生数は減り続ける。

人口減少問題と少子化問題は別

 出生数の減少が避けられない以上、日本の人口減少は止まらない。万が一、これから爆発的なベビーブームが長期にわたって起きるならば話は別だが、成熟した国家でそれは望むべくもないだろう。われわれは、人口減少は止まらないという「不都合な真実」から目をそらしてはならない。むしろ、人口減少を前提として、それでも豊かな社会を持続していくためにどうすべきかを考えることが求められている。

 出生数の減少が避けられないからといって、出産育児一時金の増額などの少子化対策をおろそかにしてもいいというわけではない。今の日本にとっては出生数の減少ペースがわずかばかり緩むだけでも大きな意味がある。ペースが遅いほど、人口減少に取り組むための時間が稼げ、選択肢も増えるからだ。

 厚労省の人口動態統計によれば、21年の自然増減数(年間出生数と年間死亡数の差)は62万8234人の減少となり過去最大を更新した。今後も人口減少幅は拡大していく見通しとなっているが、出生数の減少ペースの加速を許したならば毎年の減少幅は政府の想定よりも大きくなるだろう。社人研は総人口が1億人を下回る時期を53年と推計しているが、これもかなり早く到来することとなってしまう。速すぎる減少は社会の混乱を招く。

 人口減少問題を考えるとき、中長期的な効果を狙って実施する少子化対策と、現実問題としてすでに進行している人口減少への備えとでは時間軸が異なっており、全く別の政策であるということを間違ってはならない。

 政府や国会の議論が周回遅れになっているのは、この点を混同しているからである。両政策の目的や目標を明確に分け、双方に同時進行で取り組んでいくことが大切なのである。

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