警官、自衛官のなり手がいない! 2744集落が消滅! 少子化に打つ手なし「ディストピア日本」の未来図
人口減が予想を上回るスピードで進んでいる。岸田総理は「異次元の少子化対策」に挑戦するとぶち上げたが、もはや人口は増えないというのが大方の見解である。では私たちにはどんな未来が待ち受けているのか。「若さ」を失い衰退するだけの社会をご案内しよう。【河合雅司/ジャーナリスト】(前後編の前編/後編を読む)
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日本が瀬戸際に追い詰められつつある。人口減少が、政府の予想を上回る勢いで進んでいるのだ。
コロナ騒動の陰に隠れて大きな話題になることはなかったが、実は2019年の年間出生数は前年比で5.8%ものマイナスを記録するという危機的な状況に陥っていた。
年間出生数が100万人を下回る「ミリオンショック」となったのは16年(97万7242人)だが、それからわずか3年後の19年には80万人台に突入する異常な速さで減っていたのである。
加えて、コロナ禍が出生数の減少に一層の拍車をかけた。非嫡出子が少ない日本においては、婚姻件数が減ると翌年の出生数も連動して減る傾向にあるが、新型コロナウイルス感染症が拡大した20年と前年19年を比べると12.3%もの大激減となったのである。21年はさらに4.6%も落ち込んだ。
この結果、21年の日本人の年間出生数は前年より3万人ほど少ない81万1622人となり、22年はついに80万人を割り込む見通しだ。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)は80万人を割り込む年について30年と推計していたので、かなりの前倒しである。
周回遅れの少子化対策
婚姻件数は22年も力強い回復が見られず、出生数の急落傾向は23年以降も続くものとみられる。
新型コロナウイルス感染症をめぐって政府や地方自治体は「高齢者などの命を守るため」としてやみくもに人流抑制を繰り返したが、それは多くの若者の収入を減らし、あるいは出会いの機会を奪った。結果として、将来を展望できなくなった人たちが恋愛の余裕をなくし、結婚や妊娠を思いとどまったのである。未知の感染症であり、やむを得ないところもあるが、「実質的なゼロコロナ」を目指してきた日本社会は取り返しのつかない痛手を負った。
これに対し、岸田文雄首相が出産育児一時金を現行の42万円から50万円へと大幅に引き上げる方針を表明するなど、政府や国会は「少子化対策の強化」に向けた議論を重ねている。
だが、それは周回遅れだと言わざるを得ない。いまさら出産育児一時金の増額や不妊治療の拡充といった対策を講じたところで焼け石に水だからである。出生数の減少ペースを多少緩めるくらいの効果しか期待できない。というのも、出生数の減少は過去の少子化の影響で子供を産める年齢の女性の数が少なくなってきているという構造的な問題によって引き起こされているからだ。
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