強豪校・東海大菅生でも…なぜ、高校野球で“体罰”はなくならないのか?

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“大人の問題”

 昨年8月に就任した佐藤洋監督は、巨人でプレーした経験のある元プロ野球選手。引退後は長く小中学生の指導に携わってきた人物で、長く日本の野球界の指導法に疑問を抱いていたという。

「子どもの頃は楽しくて始めた野球が、みんな中学生くらいから、楽しくなくなったと言うんですね。その原因を突き詰めていくと“大人の問題”なんです。うちの選手にも、中学時代に自殺を考えたことがあるという子もいました。選手のための野球のはずなのに、こんなことが起きているのはおかしいですよね。本来野球が上手くなるのは楽しいことです。だから、選手たちには、まず楽しんで野球をしてくれということを言いました」

 昨年12月、東北高校の練習を取材した際、選手たちは、監督やコーチの顔色を全くうかがうことなく、常に楽しそうな雰囲気で練習に取り組んでいた。もちろん、トレーニングのメニューによっては、フィジカル的に苦しいものがあったが、やらされている感がなく取り取り組むことで、トレーニングや練習の効果が上がっている部分があるのではないだろうか。

 指導法が問題となる時に「最近の選手たちの気質が甘い」という言葉を聞くこともある。しかしながら、時代によって子どもたちの特徴が変わっていくことは世の常であり、それに応じた指導を考えていくことが指導者としての役割ではないだろうか。いつまでも古い時代の指導法に頼るのではなく、良い方向へアップデートしていくことを望みたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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