「王将戦」第2局の見どころは? 羽生九段が“泥仕合”に持っていけるかどうかに注目
32歳差のレジェンドが激突した大一番。その第1局を制したのは、今年成人式を迎えた世代の“絶対王者”だった。羽生善治九段(52)が藤井聡太王将(20)に挑む第72期王将戦七番勝負。今日と明日に行われる第2局が、今後の行方を占う山場になるという。
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前人未到のタイトル通算100期の期待もかかる羽生九段だが、そもそも下馬評は五冠に輝く藤井王将を推す声が圧倒的だった。
「棋士の間でも“藤井勝利”の声が多々聞こえますが、今回は羽生先生を応援しようと思っているファンが多いように感じています」
そう語るのは、1月8、9日に掛川城(静岡県掛川市)で行われた王将戦第1局で、副立会人を務めた神谷広志八段である。
「対局会場の近くで行われた大盤解説会では、訪れたファン向けに次の一手を予想するクイズを2回行ったんです。予想が当たったファンは、対局者どちらかが揮毫(きごう)した色紙を1枚だけもらえるのですが、2回共に正解者は羽生先生の色紙を選びました。今をときめく藤井さんの色紙を求めると思っていたので、正直驚きましたね」
例年は地元・静岡や東京から足を運ぶファンが多いそうだが、今年は全国各地から観戦者が集まっているとして、神谷八段が続ける。
「私は61歳で羽生先生より9歳年上ですが、“中年の星”として輝いてもらいたい。われわれ世代としては、もう一花をと願うのが率直な気持ちです」
「一方的なタイトル戦になってしまうかも」
さらに神谷八段が言う。
「将棋はわずかながらも先手番の方が有利になるので、羽生先生が先手の第2局がポイント。あの羽生先生ならなんとかしてくれるのではと思ってしまう。それでも藤井さんが勝ち続ければ、一方的なタイトル戦になってしまうかもしれません」
羽生九段と同年齢の先崎学九段に話を聞くと、
「次の第2局は羽生さんが先手なので、そこで勝てばフルセットになってもおかしくないと思います。第1局を振り返れば、藤井王将は中盤でリードを保ち、それ以降も隙のない指し回しで横綱相撲でした。大横綱だった羽生さんも、今は横綱に立ち向かっていく側。藤井王将にまわしをとらせないよう盤の上を混沌(こんとん)とさせて、乱れを誘うような熟練した技を見せてもらいたいと思っています」
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