ヘンリー王子の“暴露本”出版に日本人は胸騒ぎ もし同じことが起きたらどうする?
信憑性に疑問の声も
出版社からすれば、まさに「してやったり」というところだろう。ところが、致命的なミスも指摘されている。『Spare』には事実誤認の記述が少なくないのだ。
「例えば、ヘンリー王子の曾祖母にあたるエリザベス皇太后(1900~2002)が亡くなられた時の記述です。回顧録には『イートン校にいた時に聞いた』とありますが、王子はスキー場にいたことが分かっています。出版後、すぐにイギリスのメディアが証拠写真を発表しました」(同・多賀氏)
出版社は「ファクトチェックは行った」と主張しているが、こうした事実誤認は他にも散見されるという。
「校閲が機能したとは言いがたく、回顧録の信憑性を疑う声も出ているほどです。エリザベス皇太后に関する事実誤認を日本に置き換えると、昭和天皇が崩御された際、皇族の方々の公的な行動を間違って記述したようなミスに匹敵します。当時の報道をチェックすれば簡単に間違いが分かったはずで、こうした類のミスがなぜ頻発してしまったのか本当に不思議です」(同・多賀氏)
“暴露ビジネス”は継続
回顧録と言えば聞こえはいいが、平たく言えば暴露本だ。どれだけ売れようと、その“代償”は小さくない。
「かつてヘンリー王子は、7~8割のイギリス国民から支持を獲得していました。ところが2020年1月に公務離脱を発表すると支持率は徐々に低下しました。21年8月には『好き』が34%となり、回顧録が発売される直前の調査では26%まで落ち込みました。発売後に行われた別の世論調査では、『イギリスに帰ってきてほしくない』という回答が9割近くに達しています」(同・多賀氏)
だがヘンリー王子とメーガン妃は、こうした“暴露本ビジネス”を止めるつもりは毛頭ないようだ。
冒頭で紹介した日テレNEWSの記事では、イギリスの高級紙テレグラフが行ったインタビュー記事を紹介している。
ヘンリー王子は《父のチャールズ国王や、兄のウィリアム皇太子とのやり取りの中で、削除した内容がある》と説明。テレグラフは《王室側に今後の暴露への深い懸念を抱かせるだろう》と報じた。
「そもそもヘンリー夫妻は、ペンギン・ランダムハウスと4冊の本を出版する契約を結んでいます。1冊目はメーガン妃が文章を担当した絵本『The Bench』で、これは不評でした。2冊目が今回の『Spare』、3冊目は健康をテーマにした本と言われています。そして4冊目がメーガン妃の自伝です。彼女は日記をつけていたことを明かしており、それを元に王室内でどんなことが起きていたか詳細に書くというのです。『Spare』に匹敵する衝撃的な内容になると予想されています」(同・多賀氏)
[2/4ページ]