“廃墟マニア”に大人気の「摩耶観光ホテル」で進んでいた知られざる解体・墓地造成計画、危機を救ったのは…
「もうマヤカンを壊すつもりはありません」
三宮氏は「今でも廃墟の魅力というのはよくわかっていません。でも、もうマヤカンを壊すつもりはありません。会社の所有物ですが、公共のものだと考えています」と語る。
あの時、前畑氏と三宮氏が言葉を交わさなければ、今ごろマヤカンはどうなっていたか。三宮氏が、縁ができた人を大切に思わない人物だったら……。
日本では廃墟化したものも含めて、数多くの産業遺産が取り壊されてきた。産業遺産が存在できているのは決して当たり前のことではない。その裏には残そうと汗を流した人たちと、その思いを汲んで困難を受け入れる覚悟ができた人たちがいた。
マヤカンは持ち主と守りたい人に恵まれた、幸運な廃墟でもあった。