無印良品、“営業利益5割減”の衝撃… ライバル台頭で迫られるブランドイメージ転換

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300円ダイソーという脅威

 良品計画は現在、2024年8月期までの中期経営計画 で二つの目標を掲げている。簡単にいってしまうと「日用品や消耗品への注力」と「地域密着」だ。ここからはこれらを体現していると考えられる無印良品の新店舗を、マーケティングアナリストの渡辺広明氏と分析してみたい。

 まず一店目は昨年9月30日にJR三鷹駅に出店した「無印良品500」である。500円以下の商品を中心に揃えた店舗で、第一号店のこの店舗を皮切りに、2023年2月末までに都心部中心に27店舗、その後年間20店舗のペースで出店を計画しているという。

 無印良品のブランドイメージといえば「高品質」だけど「ちょっとお高い」。無印良品500では、これを覆すような無低価格帯の菓子やレトルト食品、文房具が充実している。〈より地域に密着し、「月に1回を週に1回の頻度で足を運びたくなるようなお店づくり」を目指〉すとのコンセプトで〈コンビニに近い業態〉との位置づけだという(それぞれ「無印良品500エビスタ西宮」公式HP紹介、22年9月30日WWDJAPAN配信記事「『無印良品』500円以下の日用品の新業態 長期的に2000店舗めざす」より)。

 渡辺氏は、

「売れ筋商品として店内のポップで紹介されているのも、税込150円の『泡立てボール』や390円の『スポンジホルダー』など、従来の無印良品とはちょっと異なりますね」

 として、ライバルの存在を挙げる。

「高価格帯から低価格帯へのコンセプトを掲げたのと真逆の動きとして、ダイソーの新業態『スタンダードプロダクツ』があります。こちらはいわば100円ショップの高級路線。300円をメイン価格帯に据えた店で、現在、全国に約40店舗を展開しています。買い物をしたことがある方なら分かると思いますが、『スタンダード~』で扱われる商品は、とにかく無印とソックリなんです。『これなら“300円ダイソーでいいや”』となる消費者の動きは簡単に予想できます。この脅威に対抗する手段として“500円無印”に踏み切った背景があるのでは」

 その比較は21年3月31日記事「無印良品ソックリと話題の渋谷『300円ダイソー』 商品開発のプロはどう評価するか」でも取り上げたが、商品の見た目は無印良品の得意とするシンプルなそれと酷似している。SNSには〈無印良品のジェネリック〉なんて指摘もあるほどだ。

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