人気ユーチューバーの広告収入が激減 専門家は「今年は例外なく全員が“解雇”状態に」
広告で苦戦
2018年にTikTokが世界的な人気を獲得したことを照らし合わせると、時系列としてはピタリと合う。
YouTubeとTikTokは、広告の獲得を巡っても激しい争いを繰り広げている。
「広告収益もTikTokがYouTubeを脅かしています。ある調査では、TikTokの利用者は34%が『表示された広告を通じて商品を購入した』と答えたそうです(註2)。別の調査では、YouTubeの広告による商品購入率が数%という数字もあります。異なる調査なので単純な比較はできませんが、企業が商品を買ってもらえる可能性の高いTikTokに広告を集中させるのは当然でしょう」(同・井上氏)
さらにNetflixも昨年10月から広告入りプランを世界12か国で開始した。広告を巡る競争も激化する一方だ。
広告の“質”も重要なのは言うまでもない。YouTubeを利用している人なら、最近めっきり大手企業の広告が減ったことにお気づきだろう。
動画を再生すると、怪しげな美容商品や陰謀史観を主張する書籍、借金を合法的に踏み倒す方法──などなど、眉をひそめたくなるような広告が目立つ。
株価下落の衝撃
「大手企業がYouTubeへの広告出稿を控えるようになったのは世界的な傾向です。アメリカではドナルド・トランプ氏(76)が大統領だった17年から21年にかけて、YouTubeは陰謀論動画の巣窟のようになりました。日本では20年頃から『迷惑系ユーチューバー』の存在がクローズアップされました」(同・井上氏)
20年7月、愛知県内のスーパーで商品の魚の切り身を会計前に食べたとする窃盗容疑で、へずまりゅうが逮捕されたことは記憶に新しい。
「YouTubeに広告を出稿すると、まるで陰謀論者や迷惑系ユーチューバーを支援しているかのように受け止められてしまいます。少なからぬ大手企業が広告出稿を見合わせた結果、問題のある広告が表示されてしまうようになりました。それを見た大手企業は、さらに広告出稿を控えます。こうして悪循環に陥ってしまったのです」(同・井上氏)
22年4月27日、Forbes JAPANは「YouTube広告が不調のグーグル親会社、株価が5%急落」との記事を配信した。
YouTubeはGoogleと同じく、親会社Alphabetの傘下にある。自分たちの不振で親会社の株価が下落したとあっては、危機感を持って当然だろう。
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