ドラマ10「大奥」に民放ドラマスタッフは戦々恐々「NHKにやられた。うちの局では作れない」という声が
TBS版と同じ
「2010年にまず映画版が公開され、それが吉宗・水野編でした。吉宗は柴咲コウ、水野は二宮和也が演じました。これが興行収入23億円を記録し、12年10月期の連ドラ『大奥~誕生[有功・家光篇]』に繋がり、12月には映画版第2弾の『大奥~永遠[右衛門佐・綱吉篇]』が公開されました。いずれも制作はTBSでした」
NHK版「大奥」は1話完結のようだ。予告編では第2話が「三代将軍家光・万里小路有功編」、さらに番組ホームページでは「五代将軍綱吉・右衛門佐編」が発表されている。
「つまり、TBSが制作した3つの『大奥』と、内容も一緒というわけです」
TBSは悔しい思いをしているかもしれない。
「それよりも、『大奥』が放送されている火曜夜10時は、TBSの火曜ドラマ枠と被ることに頭を抱えているかもしれません。TBSとしては、前作『君の花になる』(主演・本田翼)が低調だったため、17日スタートの『夕暮れに、手をつなぐ』には広瀬すずとKing & Princeの永瀬廉を起用するなど力が入っています。負けられない戦いの裏で話題作が放送されていることのほうが問題でしょう。しかも『大奥』には、同じくジャニーズ事務所に所属する中島が出演しているのですから、所属タレントが裏かぶりする可能性もあった。『大奥』は1話完結のため、それは見事に回避されましたけど」
過去に3度も実写化された「大奥」が、なぜ今ウケているのか。
潤沢な制作費
「『M-1グランプリ』(テレビ朝日・ABCテレビ制作)でウエストランドが優勝したのと同じ理由かもしれません。“人を傷つけない笑い”が全盛の中、彼らは思い切り“毒舌”を放ち、窮屈な時代を逆転の発想で解放したことがウケました。『大奥』は男女が逆転することで、コンプライアンスの塀の内と外をひっくり返し、しかもやりたい放題が共感を呼び、快哉が叫ばれていると見ています」
脚本は「JIN―仁―」(TBS)や「義母と娘のブルース」(同)、大河「おんな城主 直虎」(NHK)などのヒット作で知られる森下佳子氏だ。
「ヒットメーカーですから視聴者のツボは心得ています。NHKは『大奥』を何話放送するのか発表していませんが、原作通り大政奉還までを描くと言っています。となると、綾瀬はるかや柴咲コウも出てくるかもしれません」
人気俳優が勢揃いとなれば、さらに話題となるだろう。
「今シーズンは、月9(フジ)や日曜劇場(TBS)も視聴率は悪くないもののあまりパッとしないスタートだっただけに、『大奥』がNo.1ドラマに躍り出る可能性もあります。第1話のコア視聴率は1・0%と、若い世代にはまだ注目されていません。しかし、昨年、話題となった『silent』(フジ)のような、SNSなどで盛り上がれる作品を若者たちは求めています。恋愛ドラマでなくても、彼らに刺さればブームになるはずです」
さらに民放テレビマンを震撼させているのが、
「キャスティングに加え、絢爛豪華な衣装やセットといったNHKの潤沢な資金です。フジの『大奥』も豪華な衣装が話題でしたが、いまや民放は時代劇すら作ることができなくなりました。制作費が削られるばかりの民放で、『大奥』を作ることはできませんよ」