「中井貴一」特別インタビュー 素晴らしい後輩たちとのセッション
「この人は本物だ」
幸い僕らは画角の中心で芝居をさせてもらっていますが、実は周りのエキストラの人たちが支えてくださっているからこそのドラマ作りなんです。その画角のリアリティーというのは、主人公がどんなにリアルな芝居をしていても、周りを歩いているエキストラさんたちが無感情に棒歩きをしていたら全くリアリティーが出ないんです。逆に、主人公の芝居が多少棒読みでもエキストラさんたちが「何を思って歩き、どこへ行く途中なのか」、そういう細やかなところまで考えながら歩いてくださると、その画角はすごくリアルになるんですよ。
ちょうどそういう話をしていた時に見た吉田さんの画角への入り方が、あまりにも自然で素晴らしかったんです。リアリティーを作るとはこういうことなんだ、という演技を見せてもらった瞬間でした。そして、西田さんと看護師さんのやり取りが結構あって、西田さんのアドリブと思われるせりふに看護師としてきちんと受け答えしているのが聞こえてきた時、この人は本物だと思ったんですよね。着替え終わってテレビの画面をちゃんと見たら、ちょうど終わる頃でした(笑)。
名前を調べ、ドラマのオファー
出発時間になってホテルのロビーに降りていったらプロデューサーが迎えにきていて、「朝ドラ見た?」「見るわけないじゃないですか、下で待ってましたよ」とくだらないやりとりの後、バスに乗り込み、車で10分ほどの撮影現場に向かう途中、「朝ドラの中にとても気になる出演者の方がいて、顔はほとんど映ってないのだけれど誰だか知りたい」と話をして。ちょうどパソコンを持っていた二人が「朝ドラ 看護師」とキーワードを入れて検索してくれたのですが出てこない。
ところが、「瞳」の担当プロデューサーが僕の知り合いだってことが分かったので、携帯に電話をかけたんです。朝8時半くらいでしたかね。「朝ドラの今日の放送で看護師さんやってたの誰ですか?」「どうしたんですか? まだあんまり知られていないけど、吉田ひつじさんと書いて、吉田ようさんって読むみたいです」……それで僕は電話しながら傍にいるプロデューサーに調べてもらったら検索情報が出てきて。
そこで、「風のガーデン」も医療ドラマだったので、リアリティーのある看護師さんがいたらとても良いのではないかと思っていたところだった、是非呼んでほしいとお願いしたんです。すでに本役は全て決まっていたのですが急遽、役をプロデューサーが作ってくれて、1日だけ撮影に参加してもらったのが、吉田さんとの御縁の始まりなんです。
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