一夜のあやまちの後、突然会社に現れた浮気相手… 年下女性に“略奪”され「新生活がつらい」と嘆く50歳男性の苦悩

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薬を盛られた?たった一度の過ちで…

 それほど妻を愛していながら、そしてそれまで一度だってよそに目がいったことがないのに、他の浮気する夫たちと同じように「なぜか」他の女性と関係をもってしまった。息子も20歳になった年のこと。しかもたった一度だけの関係だった。

「ときどき仕事帰りに寄るバーがあったんですよ。僕は飲むと妻ののろけを口にするクセがあって。その日もそんな感じだったんでしょうね。『早く帰れ』と常連さんたちにからかわれながら店を出たら、カウンターで少し会話をした女性が追ってきたんです。『素敵な奥さんをもつあなたのことが気になって』って。 彼女に誘われて、そのままもう一軒行きました。そのあとちょっと記憶が飛んでるんですよね。いくら飲んでも僕はそこまでは酔わないので、正直言うと、何か薬でも入れられたのではないかと疑ってます」

 気づいたらホテルにいた。少しまどろんだようだ。まだ頭がぼうっとしていて、自分がどうしてホテルにいるのかわからなかった。隣には若い女性がいて、彼をじっと見ている。

「なぜか僕、裸でした。『あなたは誰? 僕はここで何をしているんだろう』とつぶやいたら、『お願い。もう一度して』と彼女が抱きついてきた。それに体がうっかり反応してしまった」

 ことが終わったあと、彼女は「ミドリ」と名乗った。彼の勤務先と職場が近いという。彼女がシャワーを浴びている間、彼は「車で帰って」とメモを添えて3万円をテーブルに置き、ひとりでチェックアウトして帰宅した。

「何をやってるんだろうと思ったのですが、なんだかまだ頭がはっきりしなかった。でも彼女が『もう一度して』と言ったのが妙に印象に残っていましたね。ということはすでに一度はしたのか、と。そんな記憶はないのだけど、とにかくホテルに行ったのも覚えていないから……」

 数日後、バーに行って彼女のことを聞いてみたが、誰も知っている人はいなかった。マスターも「あの日、初めてやってきたお客さんだよ」と言う。何かあったのかと尋ねられたが、答えることはできなかった。

突然の来訪

 それから2ヶ月近くたったある日、会社の受付から彼に来客だと連絡があった。行ってみると彼女だった。危機感を覚えて会社の外に連れ出した。

「喫茶店で向かい合って座ると、『妊娠したの』といきなり言われて。は? と大きな声を出してしまった。『あの日のこと覚えてないの?』『いや、覚えてはいるけど』『だったら妊娠しても不思議はないでしょ』というやりとりをして。結婚しているから勘弁してほしいと言いました。勘弁って何? 私はあなたを愛してしまったの、あなただって私のことを好きだと言ってくれたじゃない。彼女はそんなふうに言っていました」

 誰かが送り込んだ刺客なのか、いや、刺客を送り込まれるほど出世しているわけでもない、誰かの嫌がらせなのか、考えても考えてもわからなかった。

「とにかく、あのときのことはよく覚えていないんだ、ちょっと待ってほしいと連絡先を聞きました。家に帰ると、路子が顔面蒼白でリビングのソファに埋もれるように座っていた。え、まさかと思いました。そのまさかが当たっていた。妻は『私が退社しようとしたら、ミドリという女性が訪ねてきた。あなたの子を妊娠してるって』と言って顔を覆いました。どういうことなのよ、どうして裏切ったのよと路子はつかみかかってきました。オレにもよくわからないんだよ、ちょっと待ってほしいと言ったら、『じゃあ、あなたはあの人と関係をもってないのね』って。どうしようもなくなって、あの日のことを妻に話しました。でも自分ではとにかく記憶がない。それきり会ってもいなかったのに、いきなり訪ねてきたんだ、と」

 本当は目が覚めて彼女に迫られてからは記憶がないわけではないのだが、日が経つにつれ、夢でも見ていたかのような気持ちになっていたのだ。彼女は彼の名刺でも見て社名を知ったのだろう。そこそこ名の知れた企業だから、お金目当てなのだろうか。妻の会社はどうやって知ったのか。そういえば名刺入れに妻の名刺を1枚入れていた。とはいえ、何を考えてもどうにもならない。とにかく解決策を考えるしかないのだ。

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