方針転換の黒田総裁、生涯賃金は12億円超? キャッシュで億ションを購入

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“図書室の本を全部読んだ”といううわさ

 そもそも、黒田氏はなぜこれほど愚直に緩和を続けてきたのか。キーワードとなるのは明晰な「頭脳」と一徹すぎる「頑固さ」だ。

 1944年に福岡県内で生まれた黒田氏。海上保安官だった父の転勤で各地を転々とする中、楽しみは「読書」だったと、黒田氏の実姉が語る。

「子供の頃、父が俸給をもらうと、そのタイミングで本を必ず買ってくれたんです。“何が欲しい?”と父が聞いてくれて、私は『少女クラブ』なんかをお願いしていたのに、あの子は毎回偉人伝。キュリー夫人からエジソンから、何でも読んだ。それが子供の頃から唯一の楽しみだった」

 小学校5年生のとき世田谷区内の小学校に転校し、自宅からすぐそばの東京教育大学附属駒場中学校・高等学校(現在の筑波大学附属駒場中学校・高等学校)に進学する。

 同級生によれば、

「確か部活はやってなかったんじゃないかな。柔道部を3日くらいで挫折して、放送委員会もお母さんが反対して入れなかったとか。本人は教科書を一回読んだら忘れないというタイプで、“図書室の本を全部読んだ”といううわさもあったくらい」

「大変な秀才でした」

 当時の夢は天文学者。図書館の数学や物理学の本を読みあさっていたという。

 同級生には、細田博之衆院議長や元NHKアナウンサーの松平定知氏などがいた。100人以上いた同学年の半分が東京大学に進学するといわれていた中、「ごはんを食べるような感覚で勉強して」(同級生談)東大文科一類に進み、法学部で学ぶ。

 大学時代も成績優秀で、在学中に司法試験にも合格。

 67年に大蔵省に入省すると、3年目にイギリスのオックスフォード大学に留学。経済学で修士号を取得し、帰国後は、主に主税局と国際金融局でキャリアを重ねていった。

「僕は黒田さんに近いからバイアスがかかっていると思うけど、異次元の緩和政策は成功したと思うよ。13年以降、中長期的に見れば、景気回復は進みましたから」

 とは「ミスター円」と呼ばれた大蔵省の元財務官・榊原英資氏である。年次で二つ下となる黒田氏とは、国際金融局時代に上司と部下の関係でもあった。

「彼は大変な秀才でした。大蔵省時代、よく一緒に海外出張に行っていた頃、僕なんかは飛行機で酒飲んで寝ちゃうんだけど、彼は本を読んでいた。ジャンルの幅も広かったと聞いています」

 黒田氏の知人も言う。

「アリストテレスの『ニコマコス倫理学』を面白いと言って読んでいたのを見たことがあります。“読み終わったから”とエドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』をポンと渡されたこともありました」

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