田原総一朗が明かす妻の死を乗り越えさせてくれた「新しい恋」 「憧れの人と時々デート」

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気を付けるべき「転倒」「孤独死」

 読者の中には、テレビに出て仕事ばかりしている私を“家庭のことを何もしない亭主関白”だと思っている人もいるかもしれません。しかし、女房の存命中も、私は少なくとも“亭主関白”ではなかった。

 私は生来の無頓着ですから、例えば詰め替え用のシャンプーがどこに置いてあるかもわからない。でも、そんなことで「シャンプーはどこだ!」と声を荒らげることは一度たりともありませんでした。シャンプーの置き場を知らないのも、ただシャンプーに対して興味がなかっただけ。シャンプーがなきゃないで別に困らないし、部屋の掃除なんてしなくたって全く気にならない。そんな性格だから、むしろ家族からは怒られることのほうが多かった。でも、そのおかげで良い関係を維持できているんじゃないかと思います。

 それに、独居老人が最も気を付けなければならない「転倒」と「孤独死」を防ぐためにも家族との関係は重要なんです。私の場合は、毎朝起きたとき、風呂に入る前と後、それから寝る前に必ず娘に生存確認の電話をするようにしています。それ以外にも、何かあるたびに娘に電話をかけているので、多い時には1時間おきに電話を鳴らして怒られることもある。だけど、転倒して誰にも見つけられないよりはマシでしょう。

「悩まない」こと

 かつて私は、19世紀、20世紀、21世紀と3世紀にわたって生きることを目指した人たちが集まる「三世紀会」という会合を取材したことがありました。会長は1896年生まれの岸信介元総理が務めておられましたから、もうずいぶん昔の話です。この会合で皆さんが話されていた“長生きの秘訣(ひけつ)”が「悩まない」ことでした。

 実は、私は60歳のときに体調を崩し、便が出なくなってしまったことがあったんです。きっかけは、あるチャリティーイベントで、できもしないオーケストラの指揮を引き受けてしまったことでした。苦手なことに取り組まざるを得なくなり、自律神経のバランスを崩して消化器官に不調が出てしまったのです。

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