藤井五冠と羽生九段の“世紀の一戦” 本番を前に羽生九段が見せていた激しい闘志
人知を超えた「人間シミュレーター」
藤井五冠の躍進の背景には将棋AIを使った研鑽がある。将棋記者によると、
「藤井さんが本格的に将棋AIを使い始めたのは数年前。AIの能力をフルに引き出す高性能CPUを搭載したパソコンで自身の将棋を解析し棋力を磨いてきました。1秒間に6千万手を読む高性能PCを使用していましたが、昨年秋にCPU開発大手のAMDの広告に出演。これが縁となり、AMD Ryzen Threadripper PROというさらに高性能のCPU搭載PCをAMDから提供され、将棋研究は一層パワーアップしたそうです」
羽生九段が王将戦で対戦する相手は、ある意味で人知を超えた「人間シミュレーター」そのものなのだ。
対局を前に、記念扇子に藤井五冠は「深」、羽生九段は「仁」と揮毫した。AIの力を借りて、将棋真理の深淵を求める藤井五冠と人の将棋にこだわる羽生九段ということか。両者の立ち位置を物語る二文字だが、第1局を制したのは藤井五冠。「深」に凱歌が揚がった。
第2局は1月21、22日となる。
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