箱根駅伝、駒大の優勝を支えた監督妻の「寮母メシ」 「監督に怒られた選手のフォロー役でもある」
おふくろの味
実は、監督の5歳年下の妻・京子さんは、陸上競技部の寮で選手の食事の世話をしている。いわゆる「寮母」に当たるのだ。同部の部員はおよそ50人。彼らに平日の朝と晩の食事を提供し、毎夕食で炊くご飯の量は30合以上にもなるという。
「奥さんの料理は、まさに“おふくろの味”ですね」
とは、同部の元マネージャーで、川内優輝選手のモノマネでも知られるタレントのM高史(えむたかし)氏だ。
「それだけの人数の食事を作るだけで大変ですが、栄養バランスを考慮し、その上で体調を崩したり、アレルギーのある部員の食事は内容を変えるなど、きめ細かく対応されていました」
大八木氏の就任以前、選手たちは自炊で三食賄っていたとか。カップラーメンで済ます選手などもいて、その改善のために夫人は生まれたばかりの娘を負ぶって厨房に立った。その後、栄養士の資格を取ったというから本格的なのだ。
「後輩のある選手は好き嫌いが激しく、食事を残すことも多かった。レースで結果が悪かった時、奥さんに食事のことを厳しく指摘され、相当へこんでいました」
その後輩とは、現コニカミノルタの宇賀地強(うがちつよし)コーチ。現役時代、世界陸上の代表にもなったが、活躍には食生活改善もあったのだろう。
「奥さんは怒られた選手のフォロー役」
更には、
「奥さんは監督に怒られた選手のフォロー役でもあるんです。私もこっぴどく監督に叱られた後に“気にしなくていいよ”となぐさめられました。誕生日にはケーキとメッセージカードもいただきます」
箱根駅伝直前には選手にお守りを渡すのが恒例。当日はそれぞれがリクエストした朝食で送り出す。一番人気は豚汁うどんだという。
当の京子夫人に伺うと、
「内助の功ですか? そう言ってもらえるのはありがたいですが、私自身はそう思っていないですよ。箱根も選手全員が見事な走りを見せてくれて……」
今後は、
「夫は年齢的にも大所帯を見るのは大変ですから、今後は国際大会に出場できる選手の育成に集中します。とはいえ、部に関わりがなくなるわけではありませんから、この後どうするかはまだ決まってませんね」
「勝負メシ」の襷(たすき)は次代につながれるか。