3歳長女に熱湯で再び逮捕の25歳母親 4年前に明かされた長男の“悲痛な叫び”と長女の“深刻な重症度”

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職員との面談を拒否

 鶴見区に転居した橋本容疑者は子供2人と共に暮らしていたようだが、程なくして同区内に住む男性のアパートに移った。こうして4人での生活が始まった。

「橋本容疑者が鶴見区に住むようになってから半年後の18年11月、彼女の母親が横浜市の児童相談所に『娘の育児に心配がある』と相談していました。橋本容疑者が子供を怒鳴ったり叩いたりしているという内容です。職員が橋本容疑者と同居男性に面談すると、橋本容疑者は『長女のおむつが取れず、イライラしてお尻を叩くことがある』と説明しました」(同・記者)

 ところが、年が明けた19年1月から長男が保育園に来なくなった。そこで同30日に鶴見区の職員が同居男性の部屋を訪問した。

「長男と長女が元気なことは確認できましたが、同居男性が橋本容疑者は体調を崩して送り迎えができないと説明、職員を追い返してしまいました。その後も職員は電話で連絡を取ろうとしましたが、2人と話すことはできませんでした」(同・記者)

 当初、横浜市の担当者は毎日新聞の取材に対し「一時保護の緊急性はないと判断した。こういう事態になり残念だが、対応自体に問題はない」と回答していた(註3)。

 だが当時の林文子・横浜市長(76)は定例会見で、「市の対応は十分ではなかった」と釈明した。

執行猶予の理由

 19年3月25日、横浜地検は保護責任者遺棄罪で橋本容疑者と同居男性を起訴した。

「起訴内容は神奈川県警の逮捕容疑と同じでした。ここで重要なのは、彼女は『誤ってシャワーで熱湯をかけた』と供述していると報道各社が報じたことです。故意に熱湯をかければ傷害罪が成立しますが、そうではないというわけです」(同・記者)

 5月23日、横浜地裁で初公判が開かれた。橋本容疑者と同居男性は、共に起訴事実を認めた。

「初公判で検察は『子供2人でシャワーを浴びさせたら長女がやけどをしていた』という橋本容疑者の供述調書を読み上げました。一方、7月に開かれた第2回公判の橋本容疑者に対する被告人質問では、『長女が一人で入浴中、水の出る蛇口を止めてしまい、お湯だけ出る状態になっていた』と説明したのです」(同・記者)

 供述調書の内容と被告人質問での回答が食い違った。だが、記憶違いは誰にでもあるとは言える。

「結局、橋本容疑者の説明に矛盾があることは、裁判の大きな争点にはなりませんでした。あくまでも保護責任者遺棄罪の裁判であり、故意にシャワーを浴びせたかどうかは重要ではなかったからです。9月に判決が出て、2人には執行猶予が付きました。裁判官は判決理由について、『2人が別れて就業や自立を目指すとしている』、『事実を認め、事件当時の生活態度や育児姿勢についての内省を深めた』と説明しました」(同・記者)

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