冬ドラマ「15本」のトレンドを読む キーワードは“非リアル”
女性脚本家が15作品中10人
プライムタイム(19~23時)に15本あるドラマのうち、主演は女性が8人で約半分。秋ドラマは7人だったから、同水準。男女雇用機会均等法の施行から36年が過ぎていることを考えると、当然といったところだろう。女性はもちろん、男性だって女性の活躍や生き方が観たいに違いない。
女性脚本家は10人(筆頭脚本家を含む)。これは男性を圧倒している。秋ドラマは8人だったので、増えた。男女に能力差があるとは考えられないから、これは志向性の問題が大きいだろう。
日本脚本家連盟が主宰するスクールの脚本家クラスは男性約4割に対し女性約6割 。近年、女性の脚本家志向が高まっている。また、そもそも大学の文学部の文芸学科は女性の比率が高い。
その代わり、監督(演出)は完全に男性多数。映画の場合、「Japanese Film Project」の昨夏の発表によると、2021年に公開された映画の監督のうち、女性は12%に過ぎなかった。
テレビも同程度と思われる。脚本家・山田太一氏(88)の長女で「最高の離婚」(2013年)などを撮った元フジの宮本理江子氏(48)や「イチケイのカラス」(2021年)などを演出したフジの並木道子氏(43)、「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」をなど撮ったTBSスパークルの塚原あゆ子氏らが活躍中であるものの、総数は多くない。
これは労働環境も影響しているようだ。10年ほど前までは深夜までの撮影が当たり前。ある著名小説家はドラマの演出家を目指して制作会社に入り。優秀な助監督となったものの、2日も3日も帰宅できない過酷すぎる日常に失望。小説家に転身した。
ただし、約3年前から働き方改革がかなり厳格に行われている。今後は女性演出家も増えるのは間違いない。
演技力の高い助演者が連投する傾向も強まっている。「ブラッシュアップライフ」の夏帆(31)は「拾われた男」(NHK)秋ドラマ「silent」(フジ)からの連投。やはり「ブラッシュ――」に出る三浦透子(26)は「エルピス」から連続出演となる。
同じく「ブラッシュ――」に出演の志田未来(29)は「ファーストペンギン!」(日本テレビ)から続けての出演。「リバーサルオーケストラ」(同)に出る岡部たかし(50)は「エルピス」では気骨ある報道マン・村井喬一役を演じた。うまい人たちなので前作の役柄が透けて見えない。
さて、冬ドラマ界の話題をさらうのは、どの作品か。
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