今年も混迷続くゴルフ界…「PGAツアー」VS「リブゴルフ」それぞれに残る大きな問題

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 米男子ゴルフPGAツアーの2023年初戦となったのは、ハワイのマウイ島で開催されたセントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズだった。最終日の優勝争いは、初日から首位を走り続けた米国出身のコリン・モリカワをスペイン出身のジョン・ラーム が大逆転して勝利する波乱の展開。一方、大会会場となったカパルアGCプランテーションコースの一角では、PGAツアーのジェイ・モナハン会長と米メディアによる質疑応答が張りつめた空気の中で小1時間も続いた。【舩越園子/ゴルフジャーナリスト】

マキロイの欠場

 昨年のPGAツアーは、6月に創設されたリブゴルフとの対立が日に日に激化し、波乱の1年となった。そして、モナハン会長が公の場で語るのは、昨季最終戦となった9月のツアー選手権以来とあって、米メディアは募らせていた疑問や質問を次々に投げかけた。

 この日、米メディアの誰もが抱いていた最大の疑問は「ロリー・マキロイ がもう1試合欠場したら、どうするつもりか?」というものだった。だが、モナハン会長は「実際に何かが起こるまでは、何をどうするとは私は言わない」とクールに受け流した。

 PGAツアーは今季からリブゴルフへの対抗策として、既存の大会の中から13大会を賞金総額2000万ドル級へ格上げし、メジャー4大会と新設3大会を含めた合計20試合への出場を「トップ・プレーヤー」と定義される上位選手に義務付けている。

 昨年、「スター選手が必ず一堂に会する大会を20試合作り出せば、リブゴルフへの対抗策になるはずだ」と提言したのは、マキロイが率いるPGAツアーの選手会だった。その提言を受けた形で、20試合への出場を義務付ける大改革が今季から施行されている。

 それなのに、言い出しっぺのマキロイが「格上げ大会」の第1戦となったセントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズを欠場。シーズンエンドに支給されるPIP(プレーヤー・インパクト・プログラム)と呼ばれるビッグボーナスは、20試合に出場することが前提条件とされている。誰もが、マキロイはいきなりボーナス支給の対象外になったと思った。

 しかし、いつの間にか「1試合だけは欠場OK」という例外規定が定められており、「それならば、マキロイがもう1試合欠場したら、今度こそボーナスは無しとするのか?」と、米メディアはモナハン会長に詰め寄った。

 モナハン会長は「実際にそうなるまでは何も言えない」とクールに受け流し、米メディアの多くは納得いかないという表情でその場に立ち尽くした。

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