「NHK会長」は「軽いみこし」になれずに失脚 次期会長にパワポ資料で実績アピールの理事も
最後の会見で悔しさをにじませる
任期満了に伴い退任するNHKの前田晃伸会長が1月10日、会長として最後の会見に臨んだ。表向きには任期3年の成果を強調し、晴々としているように映ったが、実際には悔しさをにじませる中身だったという。
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会見で前田会長は3年の任期を振り返って、「スリムで強靱な新しいNHKに生まれ変わるため、今までの会長が手をつけなかったところに全部着手しようと」し、人事制度での改革を強調していた。
「“悔しい”と顔に書いてありましたね(笑)」
と、NHKの幹部局員。
「前田会長は少なくとも去年の9月ごろまでは、続投に意欲を燃やしていました。しかしそう考えていたのは自分だけで、多くの幹部は“代わってもらわないと困る”と考えていましたね」(同)
どのあたりで不興を買っていたのか?
「“何でも改革を訴えて根回しせずに突っ走るので面倒だ”と評されていましたね。もちろん改革自体は悪いことじゃないんですが、理事らの多くは“みこしは軽い方が良い”と考えていますからね」(同)
番組に細かく口出し
前田会長にとってNHKは伏魔殿のような組織に映ったのかもしれない。
「役員にあたる理事の中には前田派も結構いたものの、彼らのことを前田会長はおべんちゃらを言うだけだと見て、あまり信頼していなかったようですね。逆に人事制度改革などを通じ、一般の局員からの支持を高めようとしていたフシが見えます。ただ、番組についてもアレコレ細かく口出しをして、それが見当違いというか、“明後日(あさって)”の方向だったりすることもままあったので、余人をもって替えがたい会長という評価は得ていなかったと思います」(同)
前田会長としては、3年でこれだけ組織を変えたということを手土産に続投を狙っていたわけだが、
「一部の理事たちは関係する政治家にアプローチして、続投阻止に動いていました。前田会長もそれに抵抗していたのですが、弓折れ矢尽きたというところでしょうか。後任人事を巡ってはNHKに最も影響力がある菅義偉前首相も意向を伝える一幕もあったようですが、最後は岸田首相が出てきて、日銀の稲葉延雄元理事(現・リコー経済社会研究所参与)が次期会長に決まりました」(同)
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